ネスとルドカー
「私も似たようなものだ。気にするな。」
ルドカーからの問いに対し、ネスはそう答えながら月を見上げる。
「……綺麗だな……」
「?何か悩みでもあるのか?」
無意識の内にそう呟くネスに対し、ルドカーは首を傾げながらそう尋ねる。
「!?どうしてそう思うんだ?」
「いや、なんとなくそんな感じがしただけだが、何かあったのか?」
少しだけ動揺しながらそう言うネスに対し、ルドカーは再度そう尋ねる。
「……久しぶりに嫌な夢を見ただけだ……」
「夢?」
「……昔はよく見ていた、忌々しい夢だ……!」
ネスはそう言いながら、若干震えながら左腕を強く握り締める。
「……ノゾミ はかつて、“力”に呑まれて暴走して、仲間を手にかけた……」
「……前世の記憶持ちってやつか。前に何かの本で読んで知ってたが、実際にいるとはな……」
自身の生みの親ともいえるノゾミのことを前世として話し始めたネスに対し、ルドカーはそう言う。
「意識はあっても暴走を止められなかったそいつが見た殺戮の光景はそいつの苦しみや悲しみ、絶望と共に今も夢として見る……その夢を見て、私は苦しみながら目を覚ます……それが繰り返され、私は満足に、安らかに眠ることはできない……!!」
「………」
「私はネスだ!奴とは違う!!なのに何故、奴の記憶に、奴の犯した罪に苦しみ続けなければならない!!?」
今まで感情をあまり表に出さないネスはそう言いながら、声を荒げ、震えながら自分が悪夢に苛まされ続ける元凶であるノゾミに対する怒りを露にする。
「はぁ・・・はぁ・・・」
「……なんか今の話、聞いてっと『縁』つうもんを感じるな……」
「?」
「おまえも知っての通り、俺は周りから『ジュラスト家の跡継ぎ』とか『神童』とか色々な評価や期待をされているが、俺自身は全く気にも止めてねぇ。結局、大事なんは自分 の意思だからな。周りからどう言われようが、俺は俺の道を好きなように選んで突っ走るだけだ。」
「………」
「おまえも、今の自分 が全てなんだからよ。本当にご先祖様と違うっていうんなら、あんまし気にしない方が良いぞ。変に意識しちまうから余計に悪夢を見るかもしれねぇし、逆に自分 を追いつめる……悪夢を見なくなるかどうかは別として、意識しなきゃ少しは気楽になれるだろうよ。」
そんなネスに対し、ルドカーは何処か睨み付けるような表情でそう言う。
「……礼を言う。おまえの言葉、参考にさせてもらう。それに、話して少しばかりか気が楽になった……」
そんなルドカーの表情には気付かなかったネスはそう言いながらその場を去っていく。
「!?」
その横顔には少しだが、安らかな笑みを浮かべていたのをルドカーは見逃さなかった。
「……あぁ~あ、なんか柄にもねぇこと、言ったな……まぁ、滅多に見せねぇあいつの笑った顔を見れただけでも良しとするか……」
ネスを見送った後、ルドカーもそう言いながらその場を後にする。
「ふぅ~ん……まさか、ネスちゃんの心を少しだけ和らげてあげるだけでなく、ネスちゃんの笑顔も引き出すとはね……あの子ならもしかしたら……」
そんなルドカーの後ろ姿を木の枝の上から見下ろしながら、二人のやり取りを密かに聞いていたルナティックは不敵な笑みを浮かべながらそう言った。
ルドカーからの問いに対し、ネスはそう答えながら月を見上げる。
「……綺麗だな……」
「?何か悩みでもあるのか?」
無意識の内にそう呟くネスに対し、ルドカーは首を傾げながらそう尋ねる。
「!?どうしてそう思うんだ?」
「いや、なんとなくそんな感じがしただけだが、何かあったのか?」
少しだけ動揺しながらそう言うネスに対し、ルドカーは再度そう尋ねる。
「……久しぶりに嫌な夢を見ただけだ……」
「夢?」
「……昔はよく見ていた、忌々しい夢だ……!」
ネスはそう言いながら、若干震えながら左腕を強く握り締める。
「……
「……前世の記憶持ちってやつか。前に何かの本で読んで知ってたが、実際にいるとはな……」
自身の生みの親ともいえるノゾミのことを前世として話し始めたネスに対し、ルドカーはそう言う。
「意識はあっても暴走を止められなかったそいつが見た殺戮の光景はそいつの苦しみや悲しみ、絶望と共に今も夢として見る……その夢を見て、私は苦しみながら目を覚ます……それが繰り返され、私は満足に、安らかに眠ることはできない……!!」
「………」
「私はネスだ!奴とは違う!!なのに何故、奴の記憶に、奴の犯した罪に苦しみ続けなければならない!!?」
今まで感情をあまり表に出さないネスはそう言いながら、声を荒げ、震えながら自分が悪夢に苛まされ続ける元凶であるノゾミに対する怒りを露にする。
「はぁ・・・はぁ・・・」
「……なんか今の話、聞いてっと『縁』つうもんを感じるな……」
「?」
「おまえも知っての通り、俺は周りから『ジュラスト家の跡継ぎ』とか『神童』とか色々な評価や期待をされているが、俺自身は全く気にも止めてねぇ。結局、大事なんは
「………」
「おまえも、今の
そんなネスに対し、ルドカーは何処か睨み付けるような表情でそう言う。
「……礼を言う。おまえの言葉、参考にさせてもらう。それに、話して少しばかりか気が楽になった……」
そんなルドカーの表情には気付かなかったネスはそう言いながらその場を去っていく。
「!?」
その横顔には少しだが、安らかな笑みを浮かべていたのをルドカーは見逃さなかった。
「……あぁ~あ、なんか柄にもねぇこと、言ったな……まぁ、滅多に見せねぇあいつの笑った顔を見れただけでも良しとするか……」
ネスを見送った後、ルドカーもそう言いながらその場を後にする。
「ふぅ~ん……まさか、ネスちゃんの心を少しだけ和らげてあげるだけでなく、ネスちゃんの笑顔も引き出すとはね……あの子ならもしかしたら……」
そんなルドカーの後ろ姿を木の枝の上から見下ろしながら、二人のやり取りを密かに聞いていたルナティックは不敵な笑みを浮かべながらそう言った。