夜の森の中・・・

(『楽園』とは少し違うが……やはり、こういう自然がある所は落ち着く……)

飛び出した後、ネスはそう思いながら樹々の枝の上を跳び移っていく。

「ん？」

そんななか、ネスは月が綺麗に映し出されている泉の近くに躍り出る。

「『邪泉』と違って青いな……これが本当の泉か……」

バランスを保つために様々な世界から漏れ出た負の感情の受け皿であり、自身の生まれた場所である特殊な泉、『邪泉』にいた時のことを思い起こしながら、ネスは泉の水に触れる。

チャプ・・・

(……冷たい……)

「………」

シュル・・・パサッパサッ・・・ザブ・・・

ネスはその場で服を脱ぎ、仰向けで浮かぶように水浴びをする。

(……『邪泉』とは違ってヌルヌルとはしないな……だが、ひんやりとして気持ちいい……)

「んなっ！？／／／」

「ん？」

ネスがそう思いながら漂っているなか、茂みの方からそう言う声が聞こえてくる。

見てみると、顔を真っ赤にしたルドカーがいた。

「あ、いや、別に覗こうとしていた訳じゃ……／／／」

「………」

ザパァ・・・ッ！！

「ちょっ！？」

ルドカーの目を気にすることなく泉から出てきたネスに対し、ルドカーはそう言いながら慌てて後ろを向く。

その間にネスは水魔法で身体に付いている水滴を弾き飛ばし、火魔法で乾かしてから服を着る。

「おまえ、女なら少しは人目を気にしろよ！！」

「なんでおまえがここにいるんだ？」

後ろを向きながらそう抗議するルドカーに対し、ネスは普通にそう尋ねる。

「はぁ……ここは夜だと月がよく見えるし、周りの景色も良いから、寝付きが悪い時は気晴らしによく来るんだよ……」

「確かに月がよく見えるな。」

「で、おまえはなんでここにいるんだよ？」