ネスとルドカー

三日後、ネスの夢の中・・・

ドカァァァンッ!!

赤い垂れ幕が下りた黄金の劇場でネスによく似た黒髪に赤い瞳の少女と六人の男女が死闘を繰り広げていた。

(やめて!!私はこんなことをしたくない!!)

腰辺りと背中から金色のメタリックな尻尾と翼を生やし、両手は白銀の爪を持つ金色のメタリックなドラゴンのような手に変化していた少女は心の内では仲間である六人との戦いを拒否する。

ズシャアアアアッ×2!!

が、そんな少女の意思を無視するように少女の身体が動き、一人の女性と一人の男性の胸を爪で深く斬り刻む。

(いや・・・やめて・・・)

ズドォォォンッ!!

少女の意思とは関係なく今度は尻尾が勝手に動き、一人の女性の胸を貫く。

ズシュッ!!・・・ドサッ!!

尻尾を引き抜くと貫かれた女性はその場で倒れ、動かなくなる。

その女性の身体から夥(おびただ)しい血が流れ、血溜まりを作っていった。

(いやあああぁぁぁーーーっ!!!)

現実、ネスの寝室・・・

「ッ!!」

『精愛』の派閥から決闘を申し込まれてから三日後の夜、自身にとっての悪夢を視たネスは思わず飛び起きる。

そんなネスの額から普段からは想像がつかない量の汗が流れている。

「はぁ……はぁ……くっ………」

(また……あの夢か……)

飛び起きたネスはそう思いながら汗を拭い、ベランダに出る。

次の瞬間、ネスはベランダから夜の森の中へと飛び出していった。
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