派閥との諌かい

属性変化のコントロールの訓練を開始してから一週間後、ルドカーとハイディーンも加わった五人は属性変化もマスターし、各々に合った戦い方も研究し、身に付けていった。

また、そのことがいつの間にか他の基礎魔法組や複雑な魔法式の構成が不得意な生徒達の間に広まり、是非ともネスに教鞭を取ってもらいたいという声がちらほらと上がり、ネスの優秀さを高く評価していた先生達もそれを快諾。

ネスは学生の身でありながら基礎魔法の担任のような扱いになっていった。

昼、食堂・・・

「なんかネスちゃん、すっかり基礎魔法の先生だよね。他のクラスや学年の基礎魔法組からも教えてほしいって言われちゃってるし………」

「まぁ、ネスさんの教え方、凄くわかりやすいもんね。」

「だねぇ~。クミ先生やマルチス先生達からの信頼も凄いし………」

「………」モグモグ

最近のネスの近況について、キャリー、ロック、バーナンの三人がそう話をするなか、ネスはチーズバーガーを咀嚼する。

ザッザッザッ・・・!!

「え?」

「「ん?」」

「………」モグモグ

そんななか、首にスカーフを巻いた、他の生徒から『精愛』と呼ばれている男子生徒を先頭にした集団が歩み寄ってくる。

「やぁ。君が最近、編入してきたネスさんで合ってるかな?」

「(ゴックン)そうだが、何か用か?」

テーブルの近くまで歩み寄った後、そう尋ねる『精愛』に対し、ネスはまるで興味は全くないといわんばかりにそう聞き返す。

「貴様、編入生の分際で『精愛』様に対してなんだ!?その態度は!?」

そんなネスに対し、『精愛』の近くにいた茶髪の男子生徒がそう言って噛みつく。

が、『精愛』はその男子生徒を手で制する。

「……用件は何だ?」

「あぁ、すまないね。近頃、基礎魔法の授業で教師の真似事をしているというのは本当かな?」

そんな茶髪男子の態度を若干不愉快に感じながら再度、そう尋ねるネスに対し、『精愛』は改めてそう尋ねる。

「あぁ、気紛れでクラスメイトに教えていたつもりだったが、いつの間にかな……先生達から許可は取ってんだ。問題ないだろ?」

「ふざけんな!!編入生が教師の真似事だと!?」

「先生達にどう取り入ったか知らないが、調子に乗りやがって!!」

「しかも、おまえが指導してるのは野蛮な兵士がやっている、みっともない鍛練じゃねぇか!!高貴な魔導学園の誇りと伝統に泥を塗りやがって!!」

そう答えるネスに対し、茶髪男子生徒を始めとした『精愛』の周りの派閥の生徒がそう非難してきた。
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