その後、ホウレンから話を聞いたところ、ホウレン達、ブルッグル家が違法奴隷の調査に乗り出したのは他でもないホウレン自身がハーフエルフであり、違法な手段で奴隷にされ、虐げられている同胞達を救いたいという想いからの行動だった。

「なるほど……そちらの事情はよくわかりました。」

「………」

「ルナティック殿。ネス殿。あなた方もまたヴィアイン商会を追っていると聞きます。奴らの戦力が我々だけでは対処しきれないとわかった今、奴らに無理やり奴隷にされ、さらには戦闘員に仕立て上げられたエルフ達を救うためにもあなた方の“力”、我々にお貸しいただけないでしょうか。」

ホウレンは真剣な表情でルナティックとネスに頼み込む。

「……二つ程、条件を出してもよろしいでしょうか？」

「何でしょうか？」

「一つは私達の素性については干渉しないこと。もう一つは私達は私達のやり方で動かせてもらうこと。この二つの条件を呑んでいただけるなら私達はあなた達、ブルッグル家に協力することを約束しましょう。」

「……わかりました。その条件を呑みましょう。」

真剣な表情でそう提示するルナティックからの条件に対し、ホウレンも真剣な表情でそう了承する。

「……で、例の密書についてなんだが……」

「あぁ、そのことはネスちゃんに編入生として学園に行って、調べてもらうことになったよ。」

「・・・は？」

「学園長が私の友人なので既に話は通してあります。」

「ちょっと失礼。」

ネスはそう言いながらルナティックの後ろ首の襟を掴み、応接間の隅まで移動する。

「どういうつもりだ？ルナティック。私は聞いてない。だいたい首領の許可なしに」

「首領はすぐＯＫしてくれたよ。ネスちゃんに社会を学んでもらう良い機会だって。」

「首領……」

いつの間にかルナティックと連絡を取り合い、編入の許可を出していたユリウスに対し、ネスは若干呆れながらそう言う。

「……まぁ、首領からの指示なら仕方ないか……」

こうしてネスはヴィアイン商会の協力者を探り出すために帝立魔導学園に編入することになった。