ブルッグル伯爵との邂逅

その後、一行を乗せた馬車は帝都のブルッグル家屋敷に到着し、ルドカーは実家であるジュラスト家屋敷に強制送還された。

翌日、ブルッグル家、中庭・・・

「………」

「ネス様。どうぞ……紅茶……です……」

屋敷の主でメイリーの父親であるブルッグル伯爵が帰ってくるまでの間、中庭で一先ず寛いでいたネスに対し、いつの間にか髪を綺麗に整え、メイド服を着たハイディーンがそう言いながら紅茶を淹れたカップを近くのテーブルに置く。

「あぁ、ありがとう……(ズズッ)……美味い……」

「そういえば……ミアちゃんと……ルナティック様は………どうしたの……ですか………?」

「ミアは『アッチノホウカラオイシソウナニオイガスルゥー♪』って言いながら何処かへ駆けていった。ルナティックは……知らん……」

ミアとルナティックの行方について、そう尋ねるハイディーンに対し、ネスは紅茶を飲みながらそう答える。

「それはそうと……」

「?」

「……その格好は何の真似だ……?」

「あぁ、これですか?『ネス様に一生をかけて恩を返すのならば、従者として仕えてみてはどうでしょう。』と……メイリー様から勧められまして……」

「凄いですよ。ハイディーンさん、たった一晩でメイドとしての作法をほぼ全てマスターしたんですから。この子には才能があります!!」

「私は別に気にしなくても良いんだがな……」

ハイディーンのメイドとしての才能について、若干興奮しながらそう言う熟練メイドに対し、ネスはため息混じりにそう言いながら紅茶を飲む。

「あ。ネス様。こちらにいらっしゃったんですね。」

「メイリー嬢……なんか用か?」

そんななか、護衛であるクインを伴いながら、そう言いながら現れたメイリーに対し、ネスは首を傾げながらそう尋ねる。

「父が先程、屋敷に戻られまして、早速で申し訳ないのですが、ネス様にお会いしたいと……」

「わかった。ハイディーン。また後でな。」

「行ってらっしゃいませ。ネス様。」

そうしてネスは中庭を後にし、メイリーと共にメイリーの父親であるブルッグル伯爵に会いに向かった。





応接間・・・

「?ルナティック?」

「やっほー。ネスちゃん。先に伯爵様とお茶してるよー。」

メイリーの案内の元、辿り着いた応接間にはルナティックと金髪の短髪、エルフ特有の耳を持った青年がいた。

「……エルフか?」

「あ。父ですよ。ネス様。」

「はじめまして。メイリーの父でこの屋敷の主、ホウレン・ブルッグルです。耳がエルフなのは私がハーフエルフだからだよ。」

首を傾げながらそう言うネスに対し、メイリーはそう説明し、青年、ホウレンはそう自己紹介する。

「まずは娘と騎士達を助けてくれてありがとう。」

「ふん……」

「それじゃあ、話し合いといきましょうか。伯爵。」

「えぇ……」
1/3ページ
スキ