密書と幼女

翌朝・・・

「離せ!俺は戻らねぇって言ってるだろ!!」

昨晩、寝ている間に魔力封じの腕輪を付けられたルドカーはそう言いながら抵抗する。

「そうは言われましてもねぇ……ついでとはいえ、あなたのお父様に頼まれたことですし。あなたのお父様に一つ、貸しを作れる貴重な機会ですから一度は私達と共に帝都に戻ってもらいますよ。あ。戻った後はまた出てっても構いませんから。」

が、メイリーはそう言いながら馬車に無理やり押し込む。

「助けないの?ネスちゃん。」

「寝ている隙を突かれた奴が悪い。」

「エーテル。私もすぐにそっちに行くからな。」

「はい。領主様。お待ちしております。いつまでも。」

「あっちはまた二人だけの世界に入っちゃって……昨晩はお楽しみだったんでしょうね。」

「?何の話だ?ルナティック。」

「ネスちゃんは知らなくていいお話。」

「?」

その後、ネス達も馬車に乗り込み、一行は帝都へと向かう。

馬車内・・・

「……止まれ……」

が、その途中、ネスはそう言いながら馬車を止めさせる。

「?ネス様。どうかなさいましたか?」

「……あっちの方から妙な気配を感じる……」

首を傾げながらそう尋ねるメイリーに対し、ネスはそう言いながら森の方を指差す。

「?妙な気配……ですか?」

「あぁ、それが何なのかはわからないが……ルナティック。」

「はいはーい。とりあえず私とネスちゃん、ディック君の三人で様子を見に行くから、メイリーちゃん達はここで待っててね。」

「ぼ、僕もですか?何故?」

「なんとなく♪」

「はぁ・・・」

そうしてメイリー達を馬車の中で待たせ、ネス、ルナティック、ディックの三人はネスが感じ取った気配の正体を探るべく、森の中へと入っていった。
1/2ページ
スキ