(ダイン？メイリー嬢達を助けたあの時、色々とグチャグチャになっていたアレか。あの時、確かに死んでいた筈だが……)

「ん？奴隷の首輪が外れている。領主が奴隷を解放しようとしているのは知っていたがまさか、成功させるとは……なるほど。魔導学園の『神童』が外したのか……」

「貴様ら、一対何者だ！？どうやってこの屋敷に入った！？」

ネスがそう思っているなか、ルドカーを見ながらそう言うダインに対し、領主がそう尋ねる。

「俺はそこにいるエルフ奴隷を売ったヴィアイン商会の人間です。この屋敷には死体のフリをしてたら、そちらが勝手に入れてくれたじゃないですか。」

「死体のフリだと？」

「ククク……俺は死んだフリが得意なんでね。」

「ダイン！！一対どういうことですか！？あなたはあの時、確かに死んだ筈！！それに奴隷商側の人間とは？私達はその奴隷商を調査するためにこの町に来たんですよ！！」

そんななか、冷静さを欠いたのか、メイリーがそう言いながら無防備にもダインに近付く。

「お嬢様！！危ない！！」

ガキィィィンッ！！

が、そう言いながら前に出たクインが自身の剣でダインの剣を受け止める。

「え？」

「くっ……ダイン、貴様……！！」

「ククク……調べられちゃ困るからそのダインと刷り変わって一月（ひとつき）も前から潜り込んでたんだよ。本来ならメイリー嬢。あんたはあの時、四人の騎士と共に多数のゴブリンとオークに襲われて事故死するっていう筋書きだったのに、そこの赤髪女が余計な真似をしてくれたおかげでこうして強行手段に出ざるを得なくなっちまった。」

ガキィィィンッ！！

ダイン(偽)はそう言いながら、クインの剣を弾きながら距離を取る。

「刷り変わっていただと？じゃあ、本物のダインはどうした？」

「ハッ！そんなもん、とっくに始末して死体は高ランクの魔物が多数生息している森の中に棄ててやったよ！！今頃は魔物達の餌になってるだろうな。ククク……」

「酷い……」

「外道が……」

首を傾げながらそう尋ねるラルゴに対し、そう答えるダイン(偽)の言葉にエーテルは悲痛な表情でそう言い、クインは嫌悪感を露にしながらそう言う。

「しかし、こうなったら全員、始末するしかないな。」

「「「「「「！？」」」」」」

「ククク……おい！おまえら、出てこいや！！」

次の瞬間、ダイン(偽)はそう合図を出す。

シ～ン

「「「「「「？」」」」」」

「……」

「……あれ？」

が、何も起きなかった。