裏切りの騎士

その後は「とりあえずお茶する?」みたいな空気になり、ネス達はエーテルが淹れた紅茶を堪能する。

(ネスちゃ~ん。聞こえる?)

(!?ルナティック……)

そんななか、ネスのカオスファクターの同僚であるルナティックからの“念話”が入ってくる。

(おまえもこっちに来ていたのか。)

(首領からの指示でネスちゃんのバックアップをするためにね。あ。そうそう……)

(ん?)

(今、その屋敷に賊が入っちゃったよ。)

ドカァァァンッ!!

『!?』

ルナティックがそう言った瞬間、奴隷商の店に調査に行っていたディックが傷だらけの状態で応接間の扉を破壊しながら吹き飛ばされてくる。

「「でぃ、ディックゥーッ!?」」

ラルゴとクインは慌ててディックに駆け寄る。

「しっかりしろ!!ディック!!何があった!?」

「く、クイン……あいつが……賊が屋敷に……!!」

ディックがそう言うなか、先程、ディックが壊した出入り口付近から全身を鎧で包んだ奴とフード付きの黒ローブに身を包んだ奴の二人組が現れる。

「どうも皆さん。お久しぶりで。赤髪の女もその節は世話になったな。」

全身鎧はそう言いながら兜を外す。

「き、貴様……!!」

「なっ!?」

「バカな!?」

「!?ダイン!?生きていたのですか!?」

「………」

全身鎧の正体は町までの道中、オークやゴブリンに殺された筈のダインだった。
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