領主とエルフ

「「は?」」

「……首輪の効力は普通、外れると消えるよな?」

「その筈なんですが……」

「エルフよ。貴様は不当に捕まり、奴隷にされていたのではなかったのか?」

エーテルのまさかの言葉にラルゴとクインはそうすっ頓狂な声を上げ、ルドカーとメイリーが首を傾げながらそう言うなか、ネスは真剣な表情でそう尋ねる。

「確かに私は故郷の森から出た直後、人拐い達に捕まり、奴隷商に首輪を付けられ、奴隷としての教育も叩き込まれました……ですが、領主様は本当に私を合法奴隷だと信じた上で買い取り、他の使用人の方達と同じように、いえ、それ以上に大事にして下さいました……」

そう答えるエーテルの頬はほのかにあかい。

「……領主よ。一応聞くが、今の話は知っていたか?」

「いや。知らなかった……エーテル。そうだったのか?」

「はい。」

「……なら、君はもう自由だ。何処へなりとも好きな所へ行きなさい。」

「はい。好きな所へ行こうと思います。」

「………」

「ですから、どうかこれからもお側に置いて下さい。」

「!?」

「なっ!?」

「「え!?」」

「へぇ……」ニヤニヤ

まさかのエーテルの言葉に領主が驚愕するなか、ラルゴ、メイリー、クインの三人はそう困惑の声を上げ、ルドカーは思わず笑みを浮かべる。

「………」無表情

「き、君は私を許してくれるのか?」

「領主様が私を大事にしてくれていたのは喋れなくてもわかっておりましたから。」

「エーテル………」

「領主様………」

そうして領主とエーテルは見つめ合う。

「男女の愛は種族を超えるのだな。」

「素敵ですね。」

「………」無表情

そんな二人の様子を見て、クインとメイリーがうっとりとするなか、ネスは無表情だった。

「だ、か、ら!こういう時でも笑ったりとかしろよ!!おまえはぁっ!!!」

そんなネスに対し、ルドカーはそう言う。

「必要ないし。興味もない。」

が、ネスは無表情のまま、そう言った。

その後、ネス達と領主とエーテルは対面になるように座り直し、エーテルからこれまでの経緯を聞いた。

エーテルの奴隷化への道

①故郷の森から旅に出た直後、人拐いに捕まる。

②サンヨウの町に店を構える奴隷商に引き渡され、首輪を付けられた上で奴隷としての教育を強制的に受ける。

③何も知らない領主に買われ、大切に扱われ、愛を知る(ネス曰く「すこぶるどうでもいい。」)。
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