領主とエルフ

「ぶ、ブルッグル伯爵の……領地経営の勉強にいらしたのでは」

「お嬢様がこんな規模の町に学びに来る訳がなかろう。」

「こんなッ!?」

「こ、コホン。町の規模はさておき……こんなことに巻き込んでしまい、申し訳ありません。ネス様。まさか、領主が関与していたとは……」

「おまえ達の目的と私の目的が一緒だっただけだ。気にするな。」

クインの言葉に領主がそうショックを受けるなか、そう言って謝罪するメイリーに対し、ネスはそう言う。

「そう言って頂けると助かります……さぁ、領主様!!知ってることを洗いざらい話してもらいましょうか!!!」

「し、知らない!!さっきも言ったが、私はただエーテルを買っただけだ!!」

「多くのエルフ奴隷がこの町を経由して、各地に出回ってるのは既に調べが着いています。今更、知らぬ存ぜぬは通りませんよ!!!」

「は?この町から貴重なエルフ奴隷が?変な言い掛かりはやめて頂きたいですな!!!」

そうしてメイリーと領主は水掛け論を始める。

「あ~ぁ、こういう水掛け論は長引くから嫌いなんだよなぁ……」

「同感だ。こうなったら、真実を知ってるであろうエルフに直接聞いた方が早いな。」

『!?』

そんななか、気だるそうにそう言うルドカーにそう言いながら、ネスはエーテルの背後に回り込む。

「い、いつの間に、いや、何をする気だ!?」

「こいつの首輪を外す。ただそれだけだ。」

「!?よ、よせ!!首輪は無理やり外そうとすると即死レベルの爆発を起こす仕様になっていると商人は言っていた!!もし、エーテルに何かあったら」

「ラルゴ。クイン。」

「「はっ!!」」

「!?」

ガシッ!!

メイリーにそう指示された隊長、ラルゴとクインは左右から領主の腕を掴み、身動きを封じる。

「ネス様。お願いします。」

「あぁ……」

ネスはそう言いながらエーテルの首輪にNSを流し込む。

バキンッ!!カターンッ!!

次の瞬間、爆発力やその他の効力を失った首輪は外れ、地面に滑り落ちる。

「おまえ、本当に凄いな……」

「お願いです!!領主様を離してあげてください!!その方は本当に何も知らないんです!!」

外れた首輪を見ながらルドカーがそう言うなか、解放されたエーテルは開口一番にそう懇願してきた。
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