領主とエルフ

数分後、応接間・・・

(あぁ、そういえば、こいつらもいたんだったな……)

そう思うネスの視線の先には町までの道中、偶々、助けたメイリー一行(ディック以外)がいた。

「!?おまえ、ブルッグルの!!なんでここに!?」

(?知り合いか?)

「あら。ルドカーさん。やはりこの町にいたんですね。」

メイリー一行を見た途端、慌てだすルドカーを見ながら、ネスがそう思いながら首を傾げるなか、メイリーはそうルドカーに話しかける。

「おまえ、まさか、親父に頼まれて俺を連れ戻しにきたのか!?」

「たわけ!!貴様のようなうつけを連れ戻すためだけにお嬢様自らがこんな所まで来る訳がなかろうが!!!」

(おいおい……領主の目の前でこんな所って……)

「………」遠い目

(領主が自分の心を守ろうとしている……)

ルドカーに対してそう怒鳴るクインの言葉に遠い目をする領主を見ながら、ネスは密かにそう思う。

「確かにあなたのお父様から頼まれはしましたが、それは道中で見つけたらついでに頼むという程度のもので私達の目的は別にありますから安心してください。」

「!?お、俺がついでだとぉっ!?」

「はい。それでその……そちらの方は……?」

メイリーの『ついで』発言に激昂するルドカーを余所に、メイリーはネスの方を見ながら遠慮がちにそう尋ねる。

「はじめまして。私、最近、ルドカーさんと親しくして頂いている魔導士、ネフティスと申します。以後、お見知りおきを。」スッ

そんなメイリー一行に対し、ネスはスカートの裾を両手で掴み、優雅にお辞儀をしながら偽名の方でそう自己紹介する。

(こいつ……本当にさっきの奴と同一人物かよ……)

「「「………」」」

そんなネスの姿を横目で見ながらルドカーが密かにそう思うなか、メイリー一行は思わず見惚れる。

メイリーに至っては何故か頬が紅くなっている。

「何か?」

「い、いえ!え~と、こちらこそ、よろしくお願いします。ネフティスさん。」

「えぇ。よろしく。」ニッコリ

「///」

(作り笑顔はできんだな。)

ネスの営業スマイルにメイリーが思わず顔を赤らめるなか、ルドカーは密かにそう思う。

「そ、そういえば、領主様。先程、大事なご相談があると仰っていましたが、彼女達も一緒でよろしかったのですか?」

「えぇ。まぁ、ルドカー君とネフティス嬢だけ立ったままという訳にもいきませんからどうぞそちらに。」

そうしてネスとルドカーはメイリー一行と対面にあるソファーに座る。

「エーテル。こっちに来なさい。」パンパン

自身も椅子に座った後、領主はそう言いながら拍手をし、部屋の隅に控える一人のメイドを呼び寄せる。

「………」

そのメイドに金髪のロングヘアーに雪のように白い肌、青い瞳にエルフ特有の特徴的な耳を持ち、首には首輪が着いていた。
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