領主とエルフ

二時間後、領主邸前・・・

「おい……」

「ん?」

「何故、私がこんな格好をしなきゃならないんだ?(怒)」

明らかに不機嫌オーラMAXにしながら、赤いミニスカドレス(マリアの若りし頃のおさがり)姿のネスはそう尋ねる。

尚、マリアとリリーによって薄く化粧もされている。

「いくら俺の紹介でもあんな暗殺者ともとれる格好で領主の屋敷ん中、入れるか。それに女ならそっちの方が良いだろうが。」

そう答えるルドカーも上流貴族の息子らしい服に着替えている。

「おぉ、ルドカー君。明日にでも遣いを寄越すつもりだったのに君の方から来てくれるとはありがたい……そちらのお嬢さんは?」

その後、屋敷から出てきた灰色のオールバックのダンディーな男性である領主はネスを見ながら、首を傾げながらそう尋ねる。

「こいつは知り合いの魔導士で実力は俺と並ぶかそれ以上だ。」

「………」スッ

そんな領主にルドカーがそう紹介するなか、ネスは両手でスカートの裾を掴み、お淑やかに会釈する。

(さっきまでの不機嫌オーラは何処行った………)

「おい。せっかくだから何かやってみせてやれよ。」

そんなネスに対し、ルドカーはそう思いながら促す。

(ちっ……)

対するネスは心の中で舌打ちしながら黒雷で小鳥や猫といった小動物や小さな龍を作り出してみせる。

「おぉ……っ!!」

「で、領主のおっさん。俺に遣いを寄越そうとしたってことは何か用でもあったのか?」

「あ、あぁ、そうだった……なに、実際に見てもらった方が何か別の意見が聞けるんじゃないかと思ってね。」

そう言う領主の後を追って、ルドカーとネスは屋敷内へと入っていった。
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