サンヨウの町

チンピラAが仰向けに倒れるなか、アルドとチンピラBが短剣やナイフで襲いかかってくる。

「フッ!!」

ドカッ!!

「ぐっ!?」

が、ネスはチンピラAから奪い取ったバットでアルドの頭を殴り、

「ハッ!!」

ドコォォォンッ!!

「ぐはっ!?」

チンピラBの腹に突きを食らわせ、無力化する。

「ブツブツ・・・」

「ん?」

そんななか、ネスはルドカーが小声でなにやら呟いていたことに気が付く。

(!魔力の気配……それに詠唱……こいつ、魔導士か……)

「ちょ、ちょっとルドカー!!あんた、こんな街中で攻撃魔法をぶっ放すとか正気!?」

「うるせぇっ!!おまえを売り飛ばそうとし、仲間をぶちのめしやがったこいつだけは許せねぇ!!」

ブオオオォォォッ!!バチチチチチッ!!

そう言うルドカーの頭上には風が渦巻き、雷を帯び始める。

ワーッ!!キャーッ!!

それを見て、野次馬達はそう悲鳴を上げながら逃げていく。

(野次馬が勝手にいなくなってくれるのはありがたいが……練っている魔力の質と量からみて、このままだとマズいな……)

フォォォ・・・ッ!!

ネスはそう思いながら漆黒と金が混ざった空色の風・・・NSの風を右足に纏わせる。

(見たところ、奴が使おうとしている魔法は発動に時間がかかる……ならっ!!)

「はあああぁぁぁーーーっ!!」

「「!?」」

次の瞬間、ネスはそう思いながらダイナミックエントリーを放つ。

パリィィィンッ!!ドカァァァンッ!!

「ぐわあああぁぁぁっ!?」

次の瞬間、ネスの飛び蹴りはルドカーの魔力障壁をぶち破り、ルドカーの腹を捉えて、蹴り飛ばす。

その瞬間、発動途中だった魔法も霧散する。

「す、凄い……」

「………」

「ぐっ……咄嗟に身体強化魔法で防御力を上げたが……アバラが二、三本はいったか……」

蹴りで障壁を破り、ルドカーを撃破したネスを見ながら、リリーがそう言うなか、ルドカーはそう言いながら、胸を押さえながら上半身をなんとか起き上がらせる。

「なにやってんだ!?おまえら!!」

「「「!?」」」

そんななか、近隣住民からの通報を聞きつけた町の衛兵達が駆けつけてくる。

「ちっ……衛兵共か……」

「ルドカー……またてめぇらか!!」

「最近、キマイラの目撃情報もあったから警備を強化しなきゃならないって時にやらかしやがって!!」

「………」

「ネスちゃん。こっちこっち。」

「ん?」

「衛兵も知らない裏道から逃がしてあげる。」

衛兵達が倒れたルドカーやチンピラ達を回収している隙にネスとリリーは裏道を通って、その場を後にした。
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