奴隷商店前・・・

「ネスちゃんって奴隷でも買いたいの？お金があるのはギルドでの豪快な対応で知ってるけど。」

(ネスちゃんって……)

「奴隷に興味はない。あるのは商人の方だ。」

「……なんか危ないこと、しようとしてない？」

「さぁ、どうだろうな。まっ、巻き込まれたくなかったらここにいろ。」

ネスはそう言いながら店のドアノブに手をかける。

「見つけたぞ！！赤髪野郎！！」

「ん？」

「え？」

その声にネスとリリーが振り向いた先からルドカーとアルド、ギルドで嫌がらせに失敗した茶髭、二人のチンピラといった計五人の男達がなにやら敵意丸出しといった雰囲気で現れる。

「る、ルドカー！？なんであんた達がここに！？」

「……聞いたぞ。リリー。おまえが急にギルドを出てった後から来た連中からおまえがその赤髪野郎に『なんでもするから』って懇願した後、一緒に奴隷商の店に向かったってなぁ！！」

「そいつに何を吹き込まれたかは知らねぇけど、考え直せ！！」

「そんな野郎なんかのために身売りするこたぁねぇよ！！」

「そーだそーだ！！」

「自分を大事にしろ！！」

困惑しながらそう尋ねるリリーに対し、ルドカー、茶髭、アルド、二人のチンピラが大声でそう言ってくる。

そんな五人を聞きつけ、野次馬達も集まってくる。

(ちっ！！面倒なことになったな……)

「る、ルドカー？なんか勘違いしているみたいだけど、この子は」

「あぁ、わかってるぞ。リリー。この野郎をぶっ飛ばして、おめぇの目を覚まさせてやる。」

(あ。ダメなパターンだ。これ。)

「仕方ない……リリー。少し離れてろ。巻き込まれるぞ。」

「う、うん……」

「うちのギルドの奴を奴隷商に売り飛ばそうとしやがって！！覚悟しろや！！ゴラァァァッ！！！」

ネスがそう言ってリリーを下がらせた直後、茶髭がそう言いながらメリケンサックを装備した右拳で殴りかかってくる。

「フッ！！」

「！？」

ドカァァァンッ！！

「ぐへっ！？」

が、ネスはその拳をかわしながら背負い投げの要領で投げ飛ばし、

「ふん。」

ドカッ！！

顔面を思いきり踏みつける。

「ぎゃあああぁぁぁっ！？」

「ちっ！！」

茶髭が踏まれた顔を押さえながら転げ回るなか、チンピラAがバットで殴りかかってくる。

「フッ！！」

「！？」

ドカァァァンッ！！

「ぐはっ！？」

が、ネスはその攻撃をかわしながら懐に潜り込み、チンピラAの顎に膝蹴りを食らわせた。