セッテの決意

「……うっ……ん……」

「!?セッテ!!」

彩夏がフェイト達の救援に向かってから十数分後、気絶していたセッテは目を覚ます。

「……トーレ……」

「!?おまえ、まさか、記憶が!?」

「はい。全部、思い出しました……」

目を覚ました後、トーレにそう答えながら、セッテは身体を起こす。

「……すいませんでした……」

「私にブーメランブレードを突きつけたことか?だったら気にするな。記憶を無くしていたあの状況じゃおまえが取った行動は正しい。」

身体を起こした後、申し訳なさそうな表情でそう謝罪するセッテに対し、トーレは冷静にそう言う。

「……トーレ。私は」

「今、この国で復活したゼウスと奴が生み出した怪人達が暴れている。」

「!?」

「怪人達の方にはフェイト・テスタロッサ・アーチャーや中村一翔達が、ゼウスの方にはノゾミ・ナカムラが向かってる。」

「!?ノゾミが!?」

「あぁ、おまえを苦しめたゼウスが許せないと言ってな。」

「………」

「セッテ。おまえはどうするんだ?」

「……私は……」

本音を言えば、助けに行きたい。

しかし、記憶が戻った今、自分はトーレと同じく、スカリエッティに造り出された戦闘機人でノゾミ達と敵対している『Xマジンラー』の一員。

敵対しているノゾミを助けに行くということはトーレやスカリエッティを裏切ることに繋がる。

なにより、今の自分をノゾミは受け入れてくれるのだろうか・・・

そういった様々な想いや感情が頭の中を駆け巡るセッテは今、決断できずにいた。

「……私は!!……ッ……」

「……どうやらおまえは本当に感情を手に入れたんだな……」

胸が張り裂けそうになりながらもセッテがそう言うなか、トーレは静かに話しかける。

「セッテ。以前のおまえはあまりにも機械的過ぎた。動作も思考も生き方も……」

「トーレ……」

「だが、今のおまえには涙を流させる程に悩ませる感情と、その感情を与えてくれた大切な友ができたんだな。」

「!?」

セッテ自身、トーレに指摘されるまで気付かなかったが、今のセッテは涙を流していた。
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