動き始める闇

『Xマジンラー』、本拠地、玉座の間・・・

「加頭。ゼウスはまだ見つからないのか?」

「申し訳ありません。総帥。反応を調べる限りでは『ウェズペリア』にいるのは間違いないのですが……」

『Xマジンラー』の本拠地、玉座の間にて一週間前、一体のダークロプスと共に実験場から姿を消したセッテゼウスの捜索の進行具合について、玉座に座りながらそう尋ねるカンナギに対し、加頭は頭を下げながらそう報告する。

「……まあいい……ゼウスシステムに使っている三枚のコアメダルは何がなんでも回収しろ。変身者の戦闘機人は最悪、犠牲にしても構わん。」

「了解しました。」

そんな加頭からの報告を聞いた後、そう命ずるカンナギに対し、加頭は頭を下げながらそう言った。

通路・・・

「セッテが実験中に暴走して、ここからいなくなってからもう一週間、経ちましたね。ドクター。」

「あぁ、そうだね。トーレ。」

一週間前に暴走して、いなくなったセッテのことについて、トーレとスカリエッティはそう話しながら歩いている。

「………」

「……やっぱり心配かい?トーレ。そういえば、彼女の教育係を担当したのは君だったね。」

ほんの少しだけ、気が気でないような表情を浮かべているトーレに対し、スカリエッティはそう尋ねる。

「……心配である半面、このまま、この組織に戻ってこなければいいと思っています……私と違ってあいつはまだ、その手を血で汚していませんから……」

「……なるほど……」

「だいたい、あいつが私達と一緒に軌道拘置所に入っていたこと自体、そもそも間違っていたんです。」

「あぁ、そういえば、君はセッテに管理局に捜査協力をして、更生プログラムを受けるのを薦めたんだったね。」

「えぇ。ですが、あいつはそれを拒否しました。『敗者には敗者の吟持がありますから。』と言って。」

「フフフ……そういうところも君に似たんだろうね。セッテは。」

「まったく、余計なところまで私に似て、あいつは……っとすいません。ドクター。少し口が過ぎました。」

「構わんよ。あの事件でレリックもゆりかごも無くなってしまったからね。これからどう生きるのかはもう君達の自由だ。なんなら、君も組織から抜けたって構わない。組織の連中には私が上手いこと、言いくるめておくさ。」

「ご冗談を。セッテはともかく、私は既にその手を血で汚しています……最後までお供しますよ。ドクター……」

「……ありがとう……」
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