「どうぞ。こちらがメニュー表になります。注文が決まり次第、お呼びください。」

「あ。はい。ありがとうございます。」

案内された禁煙席に座った後、笑顔でそう言いながら、メニュー表を渡してくるセッテに対し、なのはがそう言いながら受け取る。

「セッテちゃ～ん！！ビール、おかわりぃ～！！」

「はいはい。お酒も良いですが、ほどほどにしてくださいよ？」

「ガハハハッ！！わかってるよぉ～♪」

その直後、そうビールのおかわりを注文してくる常連客の鉱山父を相手にセッテは笑顔でそう話をする。

(((だ、誰だ！？こいつ！！)))

「ただいまぁー♪セッテ♪」ﾀﾞｷｯ!!

そんなセッテを見て、フェイト、なのは、カオリの三人がそう思うなか、ギルドの依頼を終えて帰ってきたノゾミが笑顔でそう言いながら、セッテに後ろから抱きついた。

「わっ！？ちょっ、ノゾミ！！急に抱きついてこないでよ！！」

「あはは♪ごめんごめん♪」

「「「………」」」

抱きつかれた後、ノゾミと仲良さそうにそう話をするセッテを見て、三人はまたしても固まってしまう。

「あ。カオリさんにフェイトさんになのはさん！！来てたんですね！！お久しぶりです！！」

そんな三人に対し、ノゾミがそう話しかけてくる。

「あ、あぁ、うん。久しぶり。」

「久しぶりだね。ノゾミ。」

「久しぶり。」

「？ノゾミ。この人達と知り合いなの？」

対する三人がそう挨拶するなか、セッテは首を傾げながらそう尋ねる。

「あぁ、セッテ。この人達はカオリ・アーチャーさんとフェイト・テスタロッサ・アーチャーさんと高町なのはさんって言って、お父さん達の友達だよ。」

「そうなんだ……はじめまして。一週間前からここで働かせてもらっているセッテと言います。」

ノゾミから三人について、そう紹介してもらった後、セッテは礼儀正しく頭を下げながらそう自己紹介する。

「う、うん。こちらこそよろしく。カオリ・アーチャーです。」

「フェイト・テスタロッサ・アーチャーです。」

「高町なのはです。よろしくね。セッテちゃん。」

「はい。よろしくお願いします。ところでカオリさんとフェイトさんの苗字が一緒なんですが……」

「姉妹だからね。フェイトちゃんが私の姉だよ。」

「まぁ、義理のだけどね。」

「なるほど……」

(ねぇ。なのはちゃん。フェイトちゃん。)

(うん。私達三人を相手にしても何一つ、動揺もせずに普通に話せているし。演技をしてるようにも見えない。)

(一翔さん達の言う通り、本当に名前以外の記憶がないんだ。)

「あ。そうだ。セッテ。」

「ん？」

「ちょっと頭貸して。」

カオリ、なのは、フェイトの三人が“念話”でそう話をするなか、ノゾミがそうセッテに話しかける。

「？」

対するセッテは首を傾げながら、少しだけ頭を下げる。

「……さっき、帰る途中で寄ったアクセサリーショップで買ったんだけど……」

ノゾミはそう言いながら、懐から目の所に紅い宝石を使った蒼い小鳥の髪飾りを取り出し、セッテの頭に着ける。

ザパァァァ

「ほら。どうかな？」

髪飾りを着けた後、ノゾミは笑顔でそう言いながら、魔法で“水の鏡”を作り、セッテに見せる。

「わぁ。可愛い……でも、良いの？ノゾミには初めて会った日も服を買ってもらったのに……」

「勿論♪」

首を傾げながらそう尋ねるセッテに対し、ノゾミは笑顔でそう答える。

「……ありがとう。ノゾミ……一生、大切にするね……」

「えへへ♪どういたしまして♪」

「「「………」」」

お互いに笑顔で仲が良さそうにそう話をするセッテとノゾミの姿をフェイト、なのは、カオリの三人はただ黙って見ていた。