雷光と不屈と奇跡

ノゾミに拾われ、ナカムラ家で暮らしながら、『希望の翼』でウェイトレスとして働き始めたセッテはその後、名前以外の記憶は戻らないものの一週間の間で周りとすっかり打ち解け、『希望の翼』の看板娘として人気者になっていった。

一週間後、『アトラン王国』、街中・・・

「まさか、スカリエッティ達と一緒に脱獄したセッテが見つかるなんてね。」

「しかも、記憶喪失になっているなんて……」

「私も信じられないけど、一翔さん達が騙されるとは思えないから多分、本当のことだとは思うけど……」

一週間後前、一翔から連絡を受けたフェイトは親友のなのはと義妹のカオリとそう話しながら歩いている。

「確か、今はノゾミちゃん達のギルド、『希望の翼』で働いているんだっけ?」

「うん。もうすぐで着くと思うよ。」

カオリにフェイトがそう答えるなか、三人は『希望の翼』に辿り着き、フェイトが扉を開ける。

「いらっしゃいませ♪ようこそ♪『希望の翼』へ♪お食事ですか?それともご依頼ですか?」

次の瞬間、すっかり看板娘として板についたセッテが笑顔でそう三人を出迎える。

「「「……え?」」」

そんなセッテに対し、三人は思わず固まりながらそう言う。

「?お客様?」

対するセッテは首を傾げながらそう言う。

「はっ!?あ。はい!!お食事の方で!!」

そんなセッテに対し、一足先に我に返ったなのはがそう言う。

「?あ。一応喫煙席と禁煙席がありますが……」

「き、禁煙席で……」

「畏まりました。じゃあ、空いている席へご案内しますね。」

そんな三人の反応に首を傾げながらも、セッテはそう言いながら三人を空いている席へ案内し、三人はそんなセッテの後を着いていく。

(ねぇ。なのはちゃん。セッテってあんなに明るい子だったっけ?)

(いや。私の記憶だと無表情で冷たい印象が強かったと思うんだけど……)

「………」

カオリとなのはが“念話”でそう話をするなか、フェイトは自分達を案内するセッテの後ろ姿をじっと見る。

「……あの。お客様。私に何か?」

「へ?あ、あぁ!!別に!!何でもありません!!」

首を傾げながらそう尋ねるセッテに対し、フェイトは慌てながらそう答える。

「?」

そんなフェイトの様子にセッテは首を傾げながらも三人を空いている禁煙席に案内した。
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