思い出の断片

その日の夜、セッテは夢を見た。

夢の中、とある訓練場・・・

「IS:スローターアームズ。」

ズバババババババババババババババァンッ!!

ドカァァァンッ!!

夢の中の何処かの訓練場でナンバーズとしての戦闘服姿のセッテは無表情でそう言いながら、自身のIS:スローターアームズで操作した固有武装、ブーメランブレードで訓練用のガジェットⅠ型十五体を斬り裂き、撃墜する。

「どうでしたか?ーーー。」

撃墜した後、セッテは振り返りながら、自分の訓練を診てくれている紫のショートヘアの女性にそう尋ねる。

「ふむ。戦闘技術は確かに良くなってきている。が……」

「?」

「……これは前にも言ったが、動作と言動が機械的過ぎるぞ。」

「……すいません。ーーー。」

「はぁ………」

「?」

「セッテ。私達の開発コンセプトから考えれば、おまえが一番完成度が高い……余分なものが何もない、純粋な戦機だ……」

「………」

「だが、こうしておまえの訓練を診てやってる時、時々、思うよ……おまえにもう少し、感情があればいいのになってな……」

「ーーー………」

現在、ナカムラ家、セッテの部屋・・・

「はっ!?」

まだ夜が明けてない時間、セッテは夢の途中で目を覚ます。

「今のは……」

(私が記憶を失う前の……過去の記憶……?)

目を覚ました後、セッテはそう思いながら上半身を起こす。

「ッ……」

何を思い立ったのか、セッテはベッドから起き上がり、ベランダに出る。

「………」

(私の名はセッテ……それは間違いないと思う……けど、それ以外の記憶が全くない……私は……一体どういった存在なんだ……?)

ベランダに出た後、夜風に当たりながら、セッテは改めて自分自身のことについて、考え始める。

(ノゾミは私のことを多分、『Xマジンラー』に何処からか連れ拐われ、無理やりライダーシステムの実験台にされた被害者じゃないかと言っていたが……本当にそうなのか……?)

「………」

(あの夢に出てきた女性………)

「……あなたは一体……誰なんだ……?」

夜空に浮かぶ月を見上げながら、セッテがそう呟くなか・・・

「セッテ?眠れないの?」
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