芽生え始める感情

ナカムラ家、リビング・・・

「という訳でセッテをここで住まわせてあげたいんだけど……」

セッテを連れて帰った後、セッテと知り合った経緯等を説明してからノゾミはそう一翔とスィンに頼み込む。

「まぁ、そういうことなら私は別に構わないわよ。ねぇ。一翔……一翔?」

「………」

一翔はセッテを見ながら固まっていた。

「あのぉ……私の顔に何か?」

「あ、あぁ、別に何も……ここに住むことは僕も構わないぞ。」

「本当!?」

「あぁ。」

「ありがとう!!お父さん!!お母さん!!」

「ありがとうございます。」

「じゃあ、セッテの部屋は……ノゾミの部屋の隣で良いかな……」

「ノゾミ。案内してあげて。」

「はぁーい♪行こう♪セッテ♪」

「あぁ。ノゾミ。」

そうしてノゾミとセッテはリビングから出ていく。

「……ねぇ。一翔。あなたがあんな反応をするってことはやっぱり・・・」

「あぁ。ノゾミが連れてきたあの子は間違いなくジェイル・スカリエッティに造りだされ、共に軌道拘置所から脱獄した三人の戦闘機人の一人、No.7 セッテだ。」

「見事にフラグ回収しましたね。マスター。」

「しかし、まさか、記憶喪失になっとるとはな……どないするんや?一翔はん。」

その後、スィンとそう話をする一翔に対し、近くでノゾミの説明を聞いていたツバキはそう言い、サクヤはそう尋ねる。

「どうするも何もとりあえずこのことは明日にでもフェイトに伝えるよ。それでどうするかはあいつの判断に任せる。」

「もし、再逮捕するとなったら、ノゾミにとってはちょっと辛いことになりそうね……」

「ノゾミとセッテ、思いの外、仲良うなってもうとるからなぁ……」

対する一翔がそう答えるなか、スィンとサクヤは少しだけ悲しげな表情でそう言う。

「……まっ。そうはならないよう、できる限りのことはするさ……それよりも問題なのはそのセッテを一時的に乗っ取り、暴れた、『Xマジンラー』が新たに造り出した三枚のコアメダルに宿る邪悪な意思の方だ……」

「ノゾミの話では、今はネクサスの“力”でセッテの身体の中に封印されているらしいですが、何時まで持つやら……」

「まぁ、ネクサスのことを信用してへん訳やないけど、やっぱり何らかの対策は必要やと思うで。一翔はん。」

「確かにな。そこら辺辺りは彩夏と夢羽に協力してもらうか……とにかく今は様子を見るしかない……何かあったら、すぐ対応できるよう、ノゾミとセッテ以外にも説明して、警戒だけはしておいてくれ……」

「わかったわ。」

「了解です。」

「了解や。」
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