希望の翼

夕方、『希望の翼』・・・

「つ、疲れた……」

「あはは……初日から結構人気でしたもんね……お疲れ様です……」

テーブルに着いて、突っ伏しているセッテに対し、ノゾミは苦笑いしながらそう言う。

「あぁーーーっ!?」

「うわっ!?ど、どうしたんですか!?急に!!」

突然、そう大声を上げながら顔を上げるセッテに対し、ノゾミはビックリしながらそう尋ねる。

「大事なことを忘れてた……ここで仕事を得られても、帰る家がない……」

対するセッテは顔を青ざめながらそう言う。

「え、え~と、もし良かったら、うちに来ますか?」

そんなセッテに対し、ノゾミは恐る恐るそう言う。

「え?良いのか?」

「はい。自慢じゃありませんが、うちには空き部屋が結構あるんですよ。お父さんとお母さんには私から頼みますから大丈夫です。」

「でも、あなたにはここで働かせてもらえるよう、マスター達に働きかけてくれたのに、そこまで世話になって良いのか?」

「う~ん……これはもう言ったことですが、なんか放っとけないんですよねぇ~。何故かはわかりませんが……」

戸惑いながらもそう尋ねるセッテに対し、ノゾミは本当に裏表のない純粋な笑顔でそう言う。

「………」

そのノゾミの笑顔にセッテは思わず見惚れる

「どうしますか?」

「あ。じゃ、じゃあ、お言葉に甘えて……よろしくお願いします……」

「フフフ……じゃあ、一緒に帰りますか。セッテさん。」

ノゾミは笑顔でそう言いながら立ち上がる。

「……セッテ……」

「え?」

「さん付けじゃなくて、『セッテ』って呼んでくれ。敬語もなしで……」

思わずそう呆けた声を上げるノゾミに対し、セッテは真剣な表情でそう言う。

「……フフ……じゃあ、セッテも私のこと、ノゾミって呼んで。勿論、敬語もなしで♪」

「わかった。」

「じゃあ、帰ろっか♪セッテ♪」

「あぁ……ノゾミ……」

「ねぇ。阿号。」

「なんだ?にとり。」

「……私達、いつの間にか空気だね……」

「……それは言ってはいけないことだと思うぞ……」

こうしてノゾミ達はセッテを連れて、家へと帰っていった。
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