最強の巫女と普通の魔法使い

「……という訳だ……」

「なるほどね……」

「阿号にそんな“過去”があったなんて……」

阿号の説明を聞いた後、霊夢はそう言い、にとりは少し悲しそうな表情をしながらそう言う。

「ということはさっき、あんたが倒したあのホラー達は……」

「恐らく『マジンラー』の残党だ……まさか、私と同じようにこの『幻想卿』に来ていたとは思わなかったが……」

真剣な表情でそう尋ねる霊夢に対し、阿号も真剣な表情でそう答える。

「……紫はこのことを知ってて、あんたを連れてきたの?」

「さぁな……私は気が付いた時にはもうこの『幻想卿』に来ていたからな……」

「……ホラーって私達でも倒せる相手なの?」

霊夢と阿号がそう話をするなか、にとりがそう尋ねる。

「わからない……私が知る限り、ホラーを倒す術(すべ)を持っていたのは魔戒法師と魔戒騎士だけだったからな……」

「そうなんだ……」

対する阿号からの答えを聞いて、その場が何とも言えない空気に包まれる。

「まっ。とにかくまた出てきた時は退治するまでよ。それより……出てきなさい!!いるんでしょ!!スキマ妖怪!!」

クパァ

「呼ばれて飛び出てジャジャジャーン♪」

が、霊夢がそう言った瞬間、近くにスキマが現れ、そこから紫がネタをかましながら再び現れる。

「八雲紫……」

「フフフ……昨日振りね。阿号。」

「紫。あんた、『マジンラー』の残党がこの『幻想卿』に入り込んでるのを知ってて、阿号を連れてきたの?」

笑顔で阿号にそう言う紫に対し、霊夢はそう尋ねる。

「あら?残念ながらそれは不正解。阿号を連れてきたのはただ彼をあのまま砂にするのは惜しいと思ったから。『マジンラー』の残党が入り込んでるのに気付いたのはその後よ。」

「あっそう……」

「あぁ、そうそう……技の威力にもよるけど、ホラーやイマジンといった怪人達には弾幕やスペルカードが通用するから、そこのところは安心なさい。」

「そう。わかったわ。」

「?弾幕?」

紫と霊夢がそう話をするなか、『弾幕』という単語に対し、阿号は首を傾げながらそう言う。

「これのことよ。」スッ

そんな阿号に対し、紫はそう言いながら右手の人差し指を立てる。

ポォ・・・

「!?」

すると、その人差し指から丸い発光体が出現する。

「これが弾幕……この『幻想卿』の住人が持ちうる主な攻撃手段の一つよ。」

「因みにスペルカード、通称スペカは簡単に言えば必殺技だね。そのカードに記憶させた技が使えるんだよ。」

「なるほど……」

「っていうかあんたもさっきのホラー達との戦いの時、弾幕を使ってなかった?」

紫とにとりの弾幕やスペカに関する説明を聞いて、そう納得する阿号に対し、霊夢は先程のホラー戦で阿号が使用した半円状の刃のことについて、そう言う。

「?何か勘違いしているようだが、先程のホラーとの戦いで使ったアレはおまえ達で言う弾幕ではない……アレは私の元々の武装だ……」

「え!?あれ、弾幕じゃなかったの!?」

「あぁ……」

対する阿号から出た答えに霊夢がそう驚きの声を上げるなか、

「あ。そうだ。阿号も試しに弾幕を出してみたら?」

にとりがふと今、思い付いたようにそう言う。

「?使えるのか?私に……」

「使えるわよ。」

そんなにとりに首を傾げながらそう言う阿号に対し、何故か紫がそう即答する。

「だってあなた。元々の能力以外でもうすでに能力が付いちゃってるから♪その時点で弾幕も使えるわよ♪」

次の瞬間、紫は笑顔でそう言う。

「?能力?私にか?」

「えぇ。因みにあなたがこの幻想卿に来て、宿った能力は『受けた弾幕や能力を吸収して、自分のものにする』程度の能力よ。」

「はぁ!?なにその能力!!反則じゃない!!」

紫が言った阿号の能力に対し、霊夢はそうツッコミを入れる。

「仕方ないでしょ。霊夢。本当にそういった能力が阿号に宿っちゃったんだから。」

そんな霊夢に対し、紫は笑顔でそう言って受け流した。
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