最強の巫女と普通の魔法使い

「それじゃあ、行こうか。阿号。」

「行くとは昨日、八雲紫が言っていた『博麗神社』にか?」

「うん。」

朝食を食べ終えた後、にとりと阿号はそう話しながら外に出る。

「あ。そういえば阿号って飛べる?」

「飛ぶ?」

「うん。飛べるんなら、飛んでいった方が早く着くんだけど……」

「そうか……なら……」

パキィィィンッ!!

「!?」

阿号はそう言いながら、戦闘モードに変わる。

「な、何!?その姿!?」

「私の戦いの際のもう一つの姿だ。飛ぶとなったらこの姿の方が飛びやすいからな。」

ビックリしているにとりに阿号はそう答えながら、背中からロケットブースターを出し、飛行する。

「……凄い……」

「それじゃあ、行こうか。にとり。」

背中から出したロケットブースターで空を飛ぶ自分を見て、そう呆然の声を出すにとりに対し、阿号はそう言う。

「あ。う、うん!!」

対するにとりは慌てながら、そう言いながら飛行する。

その後、二人で飛び続けること約十分、大きな鳥居が見えてくる。

「にとり。あれか。」

「うん。鳥居の前で降りるよ。」

そうして二人は鳥居の前で降り立つ。

「ずいぶんと大きい神社だな。」

「そりゃあ『博麗大結界』を管理してるからね。」

「博麗大結界?……昨日、八雲紫が言っていた“結界”のことか……」

「うん。」

「あれ?にとり?」

二人がそう話しているなか、赤と白が印象的な、ちょっと変わった巫女服を着た少女が首を傾げながら、その場に現れる。

(?誰だ?)

「やあ。霊夢さん。こんにちは。」

「こんにちは。あんたがここに来るなんて珍しいわね。っていうか隣にいる黒い鎧武者は誰?」

少女、博麗はくれい霊夢れいむを見ながら、阿号が首を傾げるなか、にとりはそう霊夢に挨拶し、霊夢も挨拶を返しながら、未だに黒い鎧武者のような戦闘モードになっている阿号を見ながらそう尋ねる。

「あぁ、そういえば、まだ戦闘モードのままだったな。」

阿号はそう言いながら戦闘モードを解除し、元の姿に戻る。

「!?」

「私の名は阿号。八雲紫によってこの『幻想郷』に連れてこられた人型魔導具だ。」

阿号の姿が変わったことに霊夢がそう驚愕の表情を浮かべるなか、阿号はそう自己紹介をした。
2/7ページ
スキ