辿り着いた一つの答え

回想3、森の中の稽古場・・・

「ナズーリン!!買い出しを夜見さんに押しつけてましたね!!全部見てましたよ!!まったく、あなたという人は……くどくどくどくど………」

(やっぱり、後ろから尾行していたか。この暇人……あぁ、また説法と稽古かぁー……)

「何をしてるんだ?二人とも。」

夜見に買い出しを押しつけたことについて、後ろから見ていた寅丸がそうナズーリンに説法を説いているなか、偶々、通りかかった夜見がそう二人に話しかける。

「ややっ!!夜見さん、ちょうど良いところに!!只今、買い出しをサボったナズーリンに説法を説いている真っ最中でして……」

(またタイミング悪い時に来たなぁ……半分、無理やりやらせたような感じだし、多分、怒ってるよね……あぁ、これでまた寅丸の雷が……)

「説法?そいつ、何か悪いことしたのか?」

ナズーリンがそう思っているなか、夜見は首を傾げながらそう尋ねる。

「……え!?ナズーリンに無理やり買い出しを押しつけられたのでは……」

「そいつのこと、『おまえ』呼ばわりした上に謝れなかったからな。それは私が悪いから、代わりに買い出しを引き受けたんだ……怒るも何も理由がないだろ……」

「た、確かに話の筋は通ってますが……」

「あぁ、そうそう。忘れるところだった。買い出しを引き受けたら、ハチミツ屋のおばちゃんにオマケもらってさ…ほら。飴玉二つ、貰ったんだ……これ、一個、おまえにやるよ……」

夜見は笑顔でそう言いながら、飴玉一個をナズーリンに渡す。

「え!?いや、ちょっと……」

「……さっきは謝れなくて悪かった。あまり丁寧に話すのが得意じゃないんだ……今度から気を付けるよ……じゃ。私はこれから聖の所に行かなきゃいけないから……またな……」

夜見は笑顔でそう言いながら、聖の方へ向かっていった。

「………」

「た、たはは……こ、これでは私が勘違いしてしまったように見えますね……ど、どういたしましょうか?ナズーリン………」

「な、何言ってるんだよ……悪いことしたのは……ボクの方なのに……なんでキミが謝るんだ……バカじゃないのか?」

「あれ?なんで泣いているんですか?」

「なんでもない!!放っといてくれ!!」

回想4、森の中・・・

「……こ、こうか……な……」

口元を隠すマントを外した夜見はそう言いながら、笑顔の練習をする。

が、その時の笑顔は何処かぎこちない。

「だ、ダメだ!!これじゃヘラヘラしてるように見える!!あぁもう!!微笑む感じってどんな表情なんだよ!?」

「♪」

「?何をしているのですか?一輪。」

「へあっ!?あ、ひ、聖!!あ、あのですね!!これは別にやましい思いがあって、隠れ見ていた訳では」

「そんなに慌てずとも大丈夫ですよ。私も時折、こうして様子を見に来るので……」

「あ、はぁ……そうでしたか……」

「自分のできることを精一杯取り組む彼女の姿を見ていると、私も頑張らなければと思うんですよね……『人間と妖怪が手を取り合う世界』を目指していくためには、彼女のような『半妖』にも安らげる環境も考えなくてはなりませんね……」

「……最後までお供しますよ……聖……」

「はい。よろしくお願いします。」

「あっ!?二人とも、なに見てるんだ!!も、もしかして、全部見てたのか!?言、言わないで!!他の奴等には言わないでくれえええぇぇぇーーーっ!!!」
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