辿り着いた一つの答え

回想、森の中・・・

「そうですね……今すぐにその答えを出すのは難しいです……」

「……そうか……」

「……夜見さんよりも永く生きている私からできる助言とするならば、自分にしかできないことをしてみてはどうでしょうか?」

「私にしかできないこと?で、でも私、人間の時から得意なものなんて特段ないし、サイキックだって使えなかった………」

「別に特技じゃなくても良いのですよ。小さな人助けや自分にしかわからない気持ちを伝える……小さな人助けをすることで相手やその行動を見ていた誰かの意識を変え、気持ちを伝えることで相手と感情を共感することができます。他の方々との“繋がり”を持つことも始めは実感できないかもしれませんが、見えてくるものは必ずあります。私よりもずっと若いあなたはこれからもっと多くのことを経験し、その身や心、自分自身をさらに大きく成長させることができるでしょう……」

「私、人と話すのが苦手で無愛想だし、人助けをしようとして、失敗して迷惑かけたり、気持ちをうまく伝えられなくて、相手を困らせたりしそうで自信ないな……」

「最初からうまくできる人なんて殆んどいません。失敗も経験です。小さなことから少しずつ、積み重ねていきましょう……私も応援してますよ……」

自信なさげにそう言う夜見に対し、聖は笑顔でそう言った。

回想2、居住区、通路・・・

「え~と、後、必要なのは味醂、砂糖、ハチミツ……たくっ。なんでボクが買い出しなんて任されなきゃならないんだか……寅丸の奴、いっつも暇なんだから、自分で行けば良いのにさ……ん?あれは……」

「あ。おまえは確か、ネズミの妖怪の……」

寅丸から買い出しを任されたナズーリンはそう愚痴を溢しながら歩いていると、偶然、夜見と鉢合わせる。

「むっ!!年上に対して『おまえ』って言うな!!こう見えてもボクはキミの何百倍も年上なんだからね!!もうちょっと敬意を持って接してほしいな!!」

「………」シュン

(なんか凹んでるし……無口な性格なのか?……あ!良いこと、思いついた!!)

「まぁ、今回は寛大な心で許してやろう。その代わり、お願いがあるんだけど……買い出し、頼まれてくれない?」
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