影アリスの正体

「大丈夫ですか?皆さん。」

「え?う、うん。大丈夫だけど………」

「あなた、私達の『敵』じゃなかったの?」

影魔理沙に続いて、自分達を助けるように現れながら、そう尋ねてくる早苗に対し、こいしは若干戸惑いながらもそう答え、さとりはそう尋ねる。

「……確かに先程までは『敵』でしたが、組織に騙されていたことがわかった今はあなた達の味方です……」

「……『理を塗り替える』サイキックを持つ武人、東風谷早苗か……」

(……助……けて……)

「「「「「!?」」」」」

対する早苗が真剣な表情でそう答え、その早苗を見て、影法師がそう言うなか、影法師の中から取り込まれた闇霊夢の声が聞こえてくる。

それと同時に影法師がサイキックを使って、発生させた重力も消える。

「!?身体が軽くなった!?それにさっきの声……」

「えぇ。どうやら奴に取り込まれた元真っ黒霊夢の意識はまだ消えてはいないみたい。奴のサイキックによる重力が消えたのも多分、彼女の“意思”よ。」

「ど、どういうことですか!?なんであの黒ローブの身体から影霊夢さんの声が!?」

「その霊夢があいつに取り込まれてるからだよ!!」

「えぇ!?」

「くっ……取り込んだ意識はまだ消えていなかったか……だが、すぐにでも消してくれる!!」

闇霊夢が今、影法師に取り込まれているということに早苗がそう困惑の声を上げるなか、影法師は苦虫を噛み潰したような表情でそう言う。

「……早苗。おまえのサイキックであいつから霊夢を引きずり出すことはできるか?」

そんななか、影魔理沙がそう早苗に尋ねる。

「え、え~と……」

「どうなんだ!?」

「い、意識が消えずに残っているのなら、『その意識の主を掴んで、引きずり出す力』を私のサイキックで影魔理沙さん……あなたに与えることはできます……」

「だったら、すぐやってくれ!!なるべく超特急で!!」

「は、はい!!」

「こいし!!私達は真っ黒魔理沙が元真っ黒霊夢を引きずり出すための“力”を得るまでの時間を稼ぐわよ!!」

「うん!!」

「想起、『テリブルスーヴニール』!!」

「無意識、『弾幕のロールシャッハ』!!」

ズドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドッ!!

さとりとこいしはそう話しながら、『テリブルスーヴニール』と『弾幕のロールシャッハ』を影法師に向けて、放つ。

「無駄だ。」

パァァァ

ズガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガァンッ!!

が、影法師はそう言いながら“闇の結界”を展開して、『テリブルスーヴニール』と『弾幕のロールシャッハ』を防ぐ。

「はぁっ!!」

「「!?」」

ズガァァァンッ!!

『テリブルスーヴニール』と『弾幕のロールシャッハ』を防いだ後、影法師は“闇の波動”を放って、さとりとこいしを吹き飛ばす。

「あっ……!?」

「うっ……!?」

「フフフ……」

さとりとこいしを吹き飛ばした後、影法師は不敵な笑みを浮かべながら、追撃しようとする。

(させ……ない……)

「!?」

が、取り込んだ闇霊夢の“意思”がその動きを止める。

「サイキックによる塗り替えが終わりました!!」

「おしっ!!それじゃあ、行くぜ!!霊夢!!今、助け出してやるからな!!」

そんななか、早苗のサイキックによる塗り替えが終わった影魔理沙がそう言いながら箒に乗って、影法師に向かって、突っ込んでいく。

「くっ……我を……嘗めるな!!」

ズドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドッ!!

対する影法師はそう言いながら、闇霊夢を取り込んだことによって獲得した紫の弾幕を二十弾程、放つ。

が、影魔理沙はそれを全て、紙一重でかわしていく。

「はあああぁぁぁーーーっ!!」

「!?」

ズボォォォッ!!

次の瞬間、影魔理沙はそう言いながら、影法師の身体に右手を突っ込み、

「おりゃあああぁぁぁーーーっ!!」

ズザァァァッ!!

「ぐおおおっ!?」

「………」

そのまま影法師に取り込まれていた闇霊夢の右手を掴み、引きずり出すことに成功した。
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