影アリスの正体

回想、『影の国』、地下・・・

「よぉ。そこの可愛い姉ちゃん。命が惜しければ金目のもん、出しな。」

「「「「「「「へっへっへっ・・・」」」」」」」

『影の国』の地下にて、七人の仲間を引き連れた一人の不良がナイフをちらつかせながら、そう影霊夢を脅迫する。

「へぇ……地下の出身で私のことを知らないなんて珍しいわね……生憎だけど、ゴミに恵んでやるものは持ち合わせていないわ……」

「んだと?ゴラァ!!」ガシッ!!

呆れた表情でそう言う影霊夢に対し、一人の不良がそう言いながら、後ろから左肩を掴んでくる。

「気安く触るんじゃないわよ。」

「!?」

ドカァァァンッ!!

が、影霊夢がそう言った瞬間、不良はまるで見えない何かに押し潰されたかのように、地面にめり込むくらいの勢いで倒れ込む。

「がはぁっ!?」

「なっ!?こいつ、まさか、サイキック持ちか!?」

「そういえば、複数のゴミを同時に潰したことはないわね……いいわ。あなた達で遊んであげる。何処からでもかかってきなさい。」

仲間の一人が地面にめり込んだのを見て、不良達のリーダーがそう困惑の声を上げるなか、影霊夢はそう言って挑発する。

「くっ!!上等だ!!やっちまうぞ!!おまえら!!」

「「「「「「うおおおぉぉぉーーーっ!!!」」」」」」

対する不良はそう言いながら、残りの六人の仲間と一緒に影霊夢に襲いかかった。

十五分後・・・

「やっぱり数が多くてもゴミはゴミね……つまらないわ……」

「うっ……うぅ……」

「痛ぇ……」

十五分後、影霊夢に襲いかかった八人の不良達は影霊夢のサイキックによって文字通り、地面に沈められていた。

「へぇ……話には聞いてたがおまえさん、結構強いんだな………」

「!?」

そんななか、影魔理沙がそう言いながら、その場に現れる。

「よっ。おまえさんが今、サイキック持ちとして、地下でそれなりに有名な『博麗霊夢』だな?」

「……『それなりに』は余計だけど、私が『博麗霊夢』なのは当たっているわ……で、あんたも今、潰したゴミ共みたいに私から金目のものでも奪いにきたのかしら?」

「いやいや。私はただスカウトしにきただけだぜ?」

「?スカウト?」

「あぁ。私は『雇われ盗賊』をやっていてな。ちょうど今、一緒に仕事をしてくれる『相棒』を探してたんだぜ。」

「……私はゴミの泥棒と組む気はないわ……どうしても私を相棒にしたいんなら、力づくで屈服させることね。まぁ、できたらの話だけど……」

「……そうかい。だったら、そうさせてもらうぜ……」

完全に上から目線な態度でそう言う影霊夢に対し、影魔理沙はそう言いながら箒に乗って、飛び上がる。

「!?これは驚いたわ……あんたもサイキック持ちとはね……これはさっきのゴミ共よりは楽しめそうね……」

「まずは挨拶代わりだぜ。」

箒に乗って飛び上がった影魔理沙を見ながら、影霊夢がそう言うなか、影魔理沙はそう言いながら、幾つかの爆弾を投げつける。

「この程度の爆弾、私には効かないわよ。」

ズドォォォンッ!!

影霊夢はそう言いながら、投げつけられた爆弾が自分の方まで届く前にサイキックを使って、地面に押し潰す。

ドカカカカカァァァンッ!!

押し潰された爆弾はその場で爆発する。

が、その爆炎は影霊夢には届かなかった。

「爆炎が届く範囲も計算に入れて、サイキックで押し潰すとはやるな……だが、後ろへの注意が足りてないぜ?」

「!?」

が、いつの間にか、影霊夢の背後を取っていた影魔理沙はそう言いながら、影霊夢の首筋にナイフを突きつけていた。

「悪いな。とりあえずこの勝負は私の勝ちだぜ。」

「……さっき、あんたにも重力がかかるように操作したのに……なんであんたは潰れないのよ?」

「忘れたのか?私達が使うサイキックは言わば、この世界の理を『ねじ曲げる力』。そして、私が使うサイキックは『重力をねじ曲げて、箒に乗って空を飛ぶ力』……私がねじ曲げられる重力はおまえさんがサイキックで操作する重力だって例外じゃないぜ……」

「ッ……なるほどね……私のサイキックが効かない奴なんて、初めてだわ……」

「あははは♪私の名前は『霧雨魔理沙』……約束通り、これからよろしくだぜ。相棒……」

「……ふん……」
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