影アリスの正体

居住区、鈴蘭・・・

「フフフ……おかしいわね……あんた達、こんなに弱かったかしら……?」

居住区、菊で阿号がルーミアに説明していた頃、居住区、鈴蘭でさとりとこいしと戦っていた闇霊夢は不敵な笑みを浮かべながらそう言う。

「うっ……くっ……」

「お……姉ちゃん……」

対するさとりとこいしは少々、ボロボロになった状態で地面に両手両足を着いて、倒れ込んでいる。

否、二人とも、闇霊夢の強化されたサイキックによる重力のせいで立ち上がろうにも立ち上がれない状態だった。

(くっ……心が読めなくなっているだけでなく、さらに強化されたサイキックと組み合わせた弾幕やスペカが使えるようになっているなんてね……これはマズいわね……)

「なんだか飽きてきたわね……そろそろ楽にしてあげる……霊符、『重力封印』。」

パァァァ

さとりが苦い表情をしながらそう思案するなか、闇霊夢がそう言った瞬間、闇霊夢の頭上に巨大な紫の玉が生成される。

「それじゃあ、さようなら……」

闇霊夢は不敵な笑みを浮かべながら、そう言いながら頭上に生成した巨大な紫の玉、『重力封印』をさとりとこいしに向けて、放とうとする。

「恋符、『マスタースパーク』!!」

「「「!?」」」

ズガアアアァァァンッ!!

が、その瞬間、妖夢に頼まれて、救援にきた影魔理沙が『マスタースパーク』を闇霊夢に向けて、放ってくる。

「くっ!!」

ズガアアアァァァンッ!!

影魔理沙が放ってきた『マスタースパーク』に対し、闇霊夢は『重力封印』を放つ。

ズガアアアァァァンッ!!

影魔理沙の『マスタースパーク』と闇霊夢の『重力封印』は双方の間でぶつかり合い、相殺する。

が、その瞬間、集中が切れたのか、闇霊夢のサイキックによって、さとりとこいしに掛けられていた重力が消える。

「大丈夫かだぜ?」

「え!?真っ黒い魔理沙!?」

「あなたは……この世界の『影の国』の魔理沙……なのかしら?」

闇霊夢のサイキックによる重力が消えた後、そう尋ねながら近付いてくる影魔理沙に対し、こいしはそう困惑の声を上げ、さとりは冷静にそう尋ねる。

「あぁ。その通りだぜ。よろしくな。」

「……裏切ったの?……盗人……」

さとりとこいしを助けるかのように現れ、自分を攻撃してきた影魔理沙に対し、闇霊夢は睨み付けながらそう言う。

「!?おまえ……もしかして、霊夢なのか?その姿は一体!?」

「あら?言ってなかったかしら?私、人間をやめたのよ。あんたやあいつと一緒に受けた、早苗のサイキックによる『理の塗り替え』でね。」

「はぁ!?人間をやめたって」

「お喋りはここまでよ。裏切ったんなら、纏めて潰してあげるわ。」

ズドドドドドッ!!

影魔理沙の言葉の最中、闇霊夢はそう言いながら、五弾の紫の弾幕を影魔理沙に向けて、放ってくる。

「ッ!!」

対する影魔理沙は箒に乗って、空を飛び回りながらかわし、幾つかの爆弾を投げつける。

「そんなもんは効かないわ……重力操作ー反発。」

「!?」

が、闇霊夢がそう言った瞬間、投げつけた爆弾が闇霊夢ではなく、影魔理沙の方に向かっていく。

「くっ!!」

ドカカカカカカカァァァンッ!!

影魔理沙は素早いスピードで跳ね返された爆弾の爆発から逃れる。

「こいし!!あの影魔理沙を援護するわよ!!」

「うん!!」

ズドドドドドドドドドドッ!!

さとりとこいしはそう話しながら、それぞれで五弾ずつ、計十弾の弾幕を闇霊夢に向けて、放つ。

「無駄よ。」

「「!?」」

ズドドドドドドドドドドッ!!

が、二人が放った弾幕も先程の影魔理沙の爆弾と同じように跳ね返される。

「こいし!!かわして!!」

「う、うん!!」

跳ね返された弾幕に対し、さとりとこいしはそう話しながらかわす。

「もう一度、地に這いつくばりなさい。」

ズシイイイィィィッ!!

「うっ!?」

「くっ!!また……っ!!」

そんななか、闇霊夢は再びサイキックを使って、自分の周りの重力を重くする。

その影響を受けて、さとりとこいしは再び両手両足を地面に着いて、倒れ込んだ。
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