シュガー(フラン)の本心

本殿・・・

「よくここまで来たわね……まずは褒めてあげるべきかしら?」

「………」

その頃、自力の元に辿り着いた夜見、フラン、一輪の三人に対し、影アリスは不敵な笑みを浮かべながらそう言う。

その隣には『ジャック』に完全に支配された聖もいる。

「あなたが『ジャック』で夜見さんの国を混乱させた元凶ですね……『影の国』のアリスさん……」

「聖とこの国を返してもらうぞ。おまえだけは……おまえだけは許せない!!」

「あら、怖い。どうしようかしら……フフフ……聖はどう思う?って言ってあげても聞こえてないでしょうけど……」

「なっ……今度は聖に何をした!?」

「『感情』を壊したの。抵抗し続ける『人形』なんて『人形』じゃないもの。『ジャック』に抵抗して解けかける度に仲間の名前を呼んでたわ……あなたの名前もね。『柳下夜見』……」

「!?感情を……壊した?……う、嘘……聖。私の声……聞こえてる……?」

影アリスが聖の感情を壊したということに対し、夜見は信じられないといった表情をしながら、そう聖に尋ねる。

「………」

が、聖からの返事がない処か、反応すらなかった。

「あはははははっ!!そう!!その顔が見たかったの!!感情がないって哀れよね。大好きな人を目の前にして、喜ぶことも悲しむことも……笑いかけることすらできないんだから!!」

「そんな……聖!!」

「あなたはこんなことして、心が痛まないのですか?夜見さんがどれだけこの国の人達のことを大切に想っているか……あなただってわかるでしょう!?」

「……私はね、あんたやこいつらみたいな『偽善者』が大嫌いなのよ……だから、私が変えなきゃならないのよ!!この国も、この『世界の理』も気にくわないものは全部、塗り替えてやるわ!!!」

「そんな勝手な理由で……この国の人達の幸せや心を……聖や私達の夢を踏みにじるな!!」

「先程まで妖力を奪われて、満足には戦えませんが……聖の心は私達と共にあります!!」

「それにおまえなんかに聖は負けない!!どんなに感情を壊したとしても……信じてるから……私達の声はきっと聖に届いているって……だから、今はおまえと戦うことにだけに集中する!!」

「さっき、『結界装置』に何かあったみたいだけど、『ジャック』も正常に機能してるし、問題はなさそうね……フフフ……いくわよ。私の新しい『お人形』さん……」

「………」

「あなたを倒して、『ジャック』も止めていただきます!!そして、この国も、夜見さんや聖さんが目指す世界も護ってみせます!!」

こうして夜見・フラン・一輪VS影アリス・聖の戦いが始まった。
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