折れぬ心、斬り裂く刀

現在、居住区、菊・・・

「さて、勝利の雄叫びも済みましたし、あの妖怪姉妹の捜索を再開するとしましょうか。」

「……行かせないみょん。」

「……え?」

「みょんは……みょん達はまだ負けてないみょん……この国を……夜見ちゃんの大好きなこの国を……“夢”を……おまえらの身勝手な『正義』なんかに壊されて……たまるかみょん!!」

「!?」

そんななか、倒れていた妖夢はそう言いながら立ち上がる。

「そんな……『夢想封印』を受けても尚、立ち上がるなんて……今度は一体どんな技を!?」

「技なんて使ってないみょん……今だって、おまえに一撃でも食らえば倒れそうなくらい、身体中が痛いみょん……けど、夜見ちゃんの心の傷に比べればこれくらい、何てことないみょん……みょんが倒れたら、夜見ちゃんの……夜見ちゃんとみょん達の“夢”が壊れちゃうんだみょん!!」

「じゃ、『ジャック』は人間と妖怪が共存し、『平和な世界』を創るために必要不可欠なんです!!それをあなた達に邪魔される訳には」

「意識を無理やり統率された世界が平和だなんてありえないみょん!!多くの人達の想いや心を踏みにじってまで得た『平和』なんて『本物の平和』じゃないみょん!!」

「……やはり『悪』は『悪』なんですね……ここで立ち上がったこと……あの世で後悔しなさい!!霊符、『夢想封印』!!」

ズガアアアァァァンッ!!

早苗はそう言いながらもう一度、『夢想封印』を放ってくる。

「『斬れぬものなど、あんまりない!!』『みょん鉄剣』!!全てを叩き斬ってくれみょん!!」

『ほいきた!!いくよ!!妖夢!!』

ズバババババババババババババババァンッ!!

が、妖夢はみょん鉄剣で『夢想封印』を捌ききる。

「!?そんな……『夢想封印』を刀一本で捌ききるなんて……それにその刀は私のサイキックで理を『何も斬れない刀』に塗り替えた筈……!?」

「その塗り替えられた理をみょん鉄剣の能力で叩き斬ったんだみょん!!みょん鉄剣の能力は『みょんが斬りたいものを一刀両断できる』能力だみょん!!森羅万象、有象無象、空間や光……みょんの『想い』一つで全て、叩き斬れる!!おまえのサイキックだって例外じゃないみょん!!」

「『夢想封印』を……私のサイキックさえも叩き斬る……あなたは一体……」

「魂魄妖夢。半人半霊の庭師にして、半人前の……『死神代行』だみょん!!」

「……フ、フフフ……妖怪の次は『死神』ですか……漸くそれっぽくなってきましたね……ですが!!私にはまだ、『霊夢さん』に習った技があります!!神技、『八方鬼縛陣』!!」

「……正義とか悪とか……本当はないのかもしれないみょん……おまえの言う『正義』もまた、一つの『平和』の形かもしれないみょん……けど、みょんは……信じてるんだみょん……『ジャック』なんか使わなくても、気持ちは通じ合えるんだって……『人と妖怪が手を取り合う世界』が来るんだって……信じてるんだみょん!!」

『よく言った!!妖夢!!さぁ、派手に決めるよ!!』

「“未来永劫斬………………………散”!!」

ズババババババババババババババババババババババババババババババァンッ!!

キィ・・・ン・・・ッ!!

「悪いみょん。おまえに一瞬どころか、みょんの一太刀も見せてやれなかったみょん……」

「……どうして……正義の味方である私が……悪に負けるなど……『霊夢』さ……すいま……せん………」

ドサッ!!

妖夢の“未来永劫斬・散”を受け、早苗はそう言いながら倒れた。

「けほっけほっ!!……みょん……やったみょん……みょんも……漸く皆と……同じ位置に立てたみょん……みょんだって……やればできるんだ……みょん……」

ドサッ!!

『あらあら。霊力を使いすぎて倒れちゃったねぇ……まぁ、あれだけ私に霊力を注ぎ込めば、そりゃそうなるか……しかし、どうしたもんかねぇ……このまま、ここに寝かせておくと、別の敵に見つかるかもしれない……けど、今の私にこいつを運ぶことはできないし……やっぱり、『刀』の私は役立たずだねぇ……』

「そんなことないみょん!!」

『!?』

「そんなこと……ないみょん……」

『……なんだい。寝言かい……フフ……ッ!?遠くにドデカイ霊圧が一つ……急に出てきたねぇ。何処かにでも隠れてたいたのか……でも、この大きさ……妖夢。悪いけど、目が覚めたら、すぐさま働いてもらうことになりそうだ……これはちょいとマズいことになったねぇ……』
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