異変
翌日、とある寺、本殿・・・
「え?……今、何て言ったの?聖………」
翌日、聖達と共に暮らす寺の本殿にて、夜見は呆けた表情でそう聖に尋ねる。
「おや?一度、言っただけでは理解できませんでしたか?今日からこの脆弱な国を妖怪達が暮らしやすい強固な国に作り替えるために、まずは邪魔な人間達を排除しようと言ったんですよ。」
対する聖は笑顔でそう答える。
が、その纏う雰囲気は昨日までの彼女とはまるで別人のように冷たい雰囲気に変わっていた。
「元人間で半妖のあなたも知ってるでしょう?……人間がどれだけ醜いかを……ここに来る前、多くの人間や妖怪に虐められてきたのでしょう?」
「で、でも!!ここに来て、人間が皆、そうじゃないってことがわかったんだ!!どうしたんだよ!?聖!!いつも、『人間と妖怪は互いに手を取り合って、生きていくべきだ。』って言ってたじゃないか!!」
「そんな言葉、忘れましたよ。『人間と妖怪が手を取り合って生きていく世界』なんて所詮は夢物語……人間が妖怪を忌むのならば、妖怪が人間を忌むのなんて何もおかしくないでしょう?」
困惑しながらもそう言う夜見に対し、聖は冷たい雰囲気のまま、そう言う。
「……それは違うよ。聖……」
「………」
「憎しみからは何も生まれない……私は聖が目指していた『人間と妖怪が手を取り合って生きていく世界』を見てみたい……『管理者』としての聖じゃなくて……私が大好きな『人間』としての聖と一緒に見てみたいんだ!!」
が、夜見は迷いのない強い瞳でそう聖に呼び掛ける。
「……元人間で半妖である夜見さんなら、理解してくれると思ったんですが……残念です。大好きなあなたをこの手にかけることになるんですから……」
対する聖はそう言いながら、戦闘態勢を取る。
「ですが、これも強固な国を創るという“理想”のため……夜見さん。あなたはその“理想”実現のための礎になってもらいましょう……」
「……聖。本当はこんなこと、したくないんだろう?辛い時や悲しい時、そうやって泣きそうな顔をするのを私は知っているぞ……」
「……私は辛くもありませんし、悲しくもありませんよ……ぐっ!?うぅ……」
真剣な表情でそう言う夜見にそう答えた直後、聖は突如、頭を押さえながら苦しみだす。
「ぐっ!?この……あなた達の思い通りには……させませんよ……!!」
「聖!!」
「夜見さん……私はあなたを傷つけたくありません……私がこうやって抵抗できている今の内に……他の無事な方達と一緒にこの国から逃げてください……」
「で、でも、それじゃあ、聖が」
「行きなさい!!早く!!」
狼狽えながらそう言う夜見に対し、聖は必死な表情でそう言う。
「……必ず……迎えに行くから……」
対する夜見は涙を流しながら、そう言いながらその場から駆けていく。
「……あなた、まだ動けたのね。早く私の“人形”になってもらいたいんだけどなぁ~~~」
「流石は『管理者』……といったところですか……」
夜見が駆けていった後、物影に身を潜めていた影アリスと加頭がそう言いながら、その場に現れる。
「くっ……どうして……こんなことを……するの……ですか?……あなた達だって……同じ人間じゃない……です……か……!!」
「フフフ……そんなの、愉しいからに決まってるじゃない。ムカつく奴を力づくで黙らせること程、愉しいものはないわ……」
「私は、いや、私達はただ彼女のそういった“願い”を聞き、その“願い”を叶えるためのお手伝いをしているだけです……もっとも、彼女の考えに共感もしてますが……」
影アリスのサイキック、『ジャック』に必死に抵抗しながらもそう尋ねる聖に対し、影アリスは笑いながら、加頭はポーカーフェイスのまま、そう答える。
「くっ……許せま……せん……ぐっ!?」
ドサッ!!
「あなたがこれまで護ってきた『扉と鍵』、サイキックはこれからは私達が有効に使ってあげますよ。」
「望み通り、変えてあげるわよ。この退屈な世界を全部、塗り替えてあげる……フフフ……」
抵抗も虚しく倒れた聖に対し、加頭と影アリスはそう言った。
「え?……今、何て言ったの?聖………」
翌日、聖達と共に暮らす寺の本殿にて、夜見は呆けた表情でそう聖に尋ねる。
「おや?一度、言っただけでは理解できませんでしたか?今日からこの脆弱な国を妖怪達が暮らしやすい強固な国に作り替えるために、まずは邪魔な人間達を排除しようと言ったんですよ。」
対する聖は笑顔でそう答える。
が、その纏う雰囲気は昨日までの彼女とはまるで別人のように冷たい雰囲気に変わっていた。
「元人間で半妖のあなたも知ってるでしょう?……人間がどれだけ醜いかを……ここに来る前、多くの人間や妖怪に虐められてきたのでしょう?」
「で、でも!!ここに来て、人間が皆、そうじゃないってことがわかったんだ!!どうしたんだよ!?聖!!いつも、『人間と妖怪は互いに手を取り合って、生きていくべきだ。』って言ってたじゃないか!!」
「そんな言葉、忘れましたよ。『人間と妖怪が手を取り合って生きていく世界』なんて所詮は夢物語……人間が妖怪を忌むのならば、妖怪が人間を忌むのなんて何もおかしくないでしょう?」
困惑しながらもそう言う夜見に対し、聖は冷たい雰囲気のまま、そう言う。
「……それは違うよ。聖……」
「………」
「憎しみからは何も生まれない……私は聖が目指していた『人間と妖怪が手を取り合って生きていく世界』を見てみたい……『管理者』としての聖じゃなくて……私が大好きな『人間』としての聖と一緒に見てみたいんだ!!」
が、夜見は迷いのない強い瞳でそう聖に呼び掛ける。
「……元人間で半妖である夜見さんなら、理解してくれると思ったんですが……残念です。大好きなあなたをこの手にかけることになるんですから……」
対する聖はそう言いながら、戦闘態勢を取る。
「ですが、これも強固な国を創るという“理想”のため……夜見さん。あなたはその“理想”実現のための礎になってもらいましょう……」
「……聖。本当はこんなこと、したくないんだろう?辛い時や悲しい時、そうやって泣きそうな顔をするのを私は知っているぞ……」
「……私は辛くもありませんし、悲しくもありませんよ……ぐっ!?うぅ……」
真剣な表情でそう言う夜見にそう答えた直後、聖は突如、頭を押さえながら苦しみだす。
「ぐっ!?この……あなた達の思い通りには……させませんよ……!!」
「聖!!」
「夜見さん……私はあなたを傷つけたくありません……私がこうやって抵抗できている今の内に……他の無事な方達と一緒にこの国から逃げてください……」
「で、でも、それじゃあ、聖が」
「行きなさい!!早く!!」
狼狽えながらそう言う夜見に対し、聖は必死な表情でそう言う。
「……必ず……迎えに行くから……」
対する夜見は涙を流しながら、そう言いながらその場から駆けていく。
「……あなた、まだ動けたのね。早く私の“人形”になってもらいたいんだけどなぁ~~~」
「流石は『管理者』……といったところですか……」
夜見が駆けていった後、物影に身を潜めていた影アリスと加頭がそう言いながら、その場に現れる。
「くっ……どうして……こんなことを……するの……ですか?……あなた達だって……同じ人間じゃない……です……か……!!」
「フフフ……そんなの、愉しいからに決まってるじゃない。ムカつく奴を力づくで黙らせること程、愉しいものはないわ……」
「私は、いや、私達はただ彼女のそういった“願い”を聞き、その“願い”を叶えるためのお手伝いをしているだけです……もっとも、彼女の考えに共感もしてますが……」
影アリスのサイキック、『ジャック』に必死に抵抗しながらもそう尋ねる聖に対し、影アリスは笑いながら、加頭はポーカーフェイスのまま、そう答える。
「くっ……許せま……せん……ぐっ!?」
ドサッ!!
「あなたがこれまで護ってきた『扉と鍵』、サイキックはこれからは私達が有効に使ってあげますよ。」
「望み通り、変えてあげるわよ。この退屈な世界を全部、塗り替えてあげる……フフフ……」
抵抗も虚しく倒れた聖に対し、加頭と影アリスはそう言った。