ルーミアの秘密ともう一人の半妖
「なに?……この妖気……こんな禍々しい妖気、感じたことがないわ……!!」ガタガタブルブル
「『禍々しい』……か……その言葉、久しぶりに聞いたな……」
突如、辺りを包み込んだ禍々しい妖気に対し、影狼が思わず震えながらそう言うなか、妖気の出所である慧音はそう言いながら立ち上がる。
その髪と服の色が青から緑に変わり、頭には牛のような角が生え、先程、影狼達に負わされた傷が跡形もなく、なくなっていた。
「確かに最近は満月の夜は出歩かないようにしていた……あまり好きじゃないんだ。妖怪よりも妖怪らしいこの姿がな……」
(嘘、ケガが治ってる!?……さっきまで立ってるのもやっとな奴が……ッ!!そうか!!私と同じく、時間帯と月の満ち欠けの影響を受けているのね!!でも、半妖の潜在能力なんてたかが知れてる……力業でねじ伏せるわ!!)
「生意気な半端者は……斬り刻んであげる!!」
影狼はそう言いながら、右手の爪で慧音に斬りかかる。
ドカァァァンッ!!
「!?」
「………」
が、慧音は影狼の右手を掴み、受け止める。
「そんな……なんて馬鹿力なの!?……こっちも限界まで潜在能力を引き出している状態なのに……」
「うっ……くぅぅ……うおぉおぉぉおおおぉおおらあぁあぁぁあああぁああぁぁぁーーーっ!!!」
「!?」
ドカァァァンッ!!
次の瞬間、慧音は影狼を思い切り投げ飛ばす。
「ガハッ!?……投げ飛ばされた……純血の妖怪である私でも力じゃ勝てない……だったら、妖術と速さで勝負よ!!妖術、参の型、“狼牙旋風爪”!!」
投げ飛ばされた影狼はそう言いながら、“狼牙旋風爪”で慧音に斬りかかる。
「……妖術、“纏業火”。」
「!?」
ボォォォッ!!
が、慧音がそう言った瞬間、炎が慧音の身体を包み込む。
「熱っ!?その妖術は……最古の妖怪の……!!」
「……そうか……私の身体に流れる血がおまえの戦う姿を覚えていたんだな……疎んできた『白沢の血』の“力”が誰かを護るのに使えることを誇りに思うよ……ありがとう。ルーミア……」
「ちぃぃ……あの妖術は“水鏡”なんかよりも厄介ね……妖術、弐の型、“土竜槍”!!」
「!?」
ズオオオォォォッ!!
影狼がそう言った瞬間、慧音の足元から“土の槍”が剣山のように現れ、慧音を取り囲み、身動きを封じる。
「あんたの潜在能力の危険性はよくわかったわ。はたてには悪いけど、ここは一度、引かせてもらうわよ……」
「!?」
「この子は人質として、預からせてもらうけどねぇ。」
影狼はそう言いながら、小鈴を連れ去ろうとする。
「壱番勝負、『霊長化弾幕変化』。」
「!?」
ズドドドドドッ!!
が、その瞬間、半透明の猿のような弾幕が放たれ、影狼にまとわりついて、小鈴から引き離す。
「な、なによ!?この技!!くっ!!邪魔よ!!離れなさい!!」
「小悪党特有のその手なんぞ見抜いとるわい……ケガはないかの?」
自身のスペカ、『霊長化弾幕変化』で小鈴から影狼を引き離した後、変化を解いたマミゾウがそう言いながら、小鈴の隣に現れる。
「は、はい!!」
「ほれ。まだ泣くでない。先生はまだお主のために戦っておるぞ。」
「ちょいさぁぁぁっ!!」
ドカァァァンッ!!
影狼が“土竜槍”で作った即席の檻を、慧音は力づくで破壊して脱出する。
「くそっ!!本当に妖怪以上の『化け物』なのね!!」
「……『半端者』とバカにされようが、『化け物』と罵られようが構わないさ……私は今、この国の全てを護るために戦っているのだからな……『ジャック』で無理矢理自分の意思に反することをさせられて、疲れただろう?国のことは私達に任せて、一足先に休んでくれ。妖術、“無阿有浄化”。」
「!?」
パァァァ・・・
慧音がそう言った瞬間、影狼の身体が光に包まれる。
「え?なに?この光……頭が……ッ!?この記憶は……!!」
「………」
「そ、そうだったのね……あんたも……辛かったでしょうに……ごめんな……さい……それと……止めてくれて……ありが……とう……」
ドサッ!!パリィィィンッ!!
次の瞬間、影狼は涙を流しながら気を失って倒れ、“月光招来”も解除され、元の昼間の景色に戻った。
「わかっているさ。同じ心を持っているのだから……悪いのは『ジャック』だ。目が覚めても、誰もおまえのことを責めたりなんてしないよ……そうだろ?ルーミア……」
そう言う慧音は色が元の青に戻り、角も消えていた。
「見事じゃぞい。『能ある鷹は爪を隠す』とはこのことじゃな。」
「よしてくれ。あんな無茶ができるのは満月の夜だけだ……あなたこそ、私達を助けてくれて、ありがとう……」
「別に儂は何もしとらんがの?小娘に携帯を投げ返して、後ろでただ観ていただけじゃぞい……お主の傷もお主が月の光を浴びて、勝手に治しただけじゃしな……」
(こ、行動だけ見れば、確かにそうだが、全部、計算してたんだろうな……どこまでも恐ろしい人だ……敵でなくて良かったと心底思うよ……)
「慧音先生。はい。帽子です。」
「おぉ。ありがとう。すまないな。危ない目に遭わせて……あ~と、先生の姿を見て、その……怖くは……なかったか?」
「いいえ。慧音先生、とってもカッコ良かったです!!例え、どんな姿でも……慧音先生は慧音先生ですから!!」
「……皆、同じことを言ってくれるな……本当に私は『幸せ者』だよ……」
「『禍々しい』……か……その言葉、久しぶりに聞いたな……」
突如、辺りを包み込んだ禍々しい妖気に対し、影狼が思わず震えながらそう言うなか、妖気の出所である慧音はそう言いながら立ち上がる。
その髪と服の色が青から緑に変わり、頭には牛のような角が生え、先程、影狼達に負わされた傷が跡形もなく、なくなっていた。
「確かに最近は満月の夜は出歩かないようにしていた……あまり好きじゃないんだ。妖怪よりも妖怪らしいこの姿がな……」
(嘘、ケガが治ってる!?……さっきまで立ってるのもやっとな奴が……ッ!!そうか!!私と同じく、時間帯と月の満ち欠けの影響を受けているのね!!でも、半妖の潜在能力なんてたかが知れてる……力業でねじ伏せるわ!!)
「生意気な半端者は……斬り刻んであげる!!」
影狼はそう言いながら、右手の爪で慧音に斬りかかる。
ドカァァァンッ!!
「!?」
「………」
が、慧音は影狼の右手を掴み、受け止める。
「そんな……なんて馬鹿力なの!?……こっちも限界まで潜在能力を引き出している状態なのに……」
「うっ……くぅぅ……うおぉおぉぉおおおぉおおらあぁあぁぁあああぁああぁぁぁーーーっ!!!」
「!?」
ドカァァァンッ!!
次の瞬間、慧音は影狼を思い切り投げ飛ばす。
「ガハッ!?……投げ飛ばされた……純血の妖怪である私でも力じゃ勝てない……だったら、妖術と速さで勝負よ!!妖術、参の型、“狼牙旋風爪”!!」
投げ飛ばされた影狼はそう言いながら、“狼牙旋風爪”で慧音に斬りかかる。
「……妖術、“纏業火”。」
「!?」
ボォォォッ!!
が、慧音がそう言った瞬間、炎が慧音の身体を包み込む。
「熱っ!?その妖術は……最古の妖怪の……!!」
「……そうか……私の身体に流れる血がおまえの戦う姿を覚えていたんだな……疎んできた『白沢の血』の“力”が誰かを護るのに使えることを誇りに思うよ……ありがとう。ルーミア……」
「ちぃぃ……あの妖術は“水鏡”なんかよりも厄介ね……妖術、弐の型、“土竜槍”!!」
「!?」
ズオオオォォォッ!!
影狼がそう言った瞬間、慧音の足元から“土の槍”が剣山のように現れ、慧音を取り囲み、身動きを封じる。
「あんたの潜在能力の危険性はよくわかったわ。はたてには悪いけど、ここは一度、引かせてもらうわよ……」
「!?」
「この子は人質として、預からせてもらうけどねぇ。」
影狼はそう言いながら、小鈴を連れ去ろうとする。
「壱番勝負、『霊長化弾幕変化』。」
「!?」
ズドドドドドッ!!
が、その瞬間、半透明の猿のような弾幕が放たれ、影狼にまとわりついて、小鈴から引き離す。
「な、なによ!?この技!!くっ!!邪魔よ!!離れなさい!!」
「小悪党特有のその手なんぞ見抜いとるわい……ケガはないかの?」
自身のスペカ、『霊長化弾幕変化』で小鈴から影狼を引き離した後、変化を解いたマミゾウがそう言いながら、小鈴の隣に現れる。
「は、はい!!」
「ほれ。まだ泣くでない。先生はまだお主のために戦っておるぞ。」
「ちょいさぁぁぁっ!!」
ドカァァァンッ!!
影狼が“土竜槍”で作った即席の檻を、慧音は力づくで破壊して脱出する。
「くそっ!!本当に妖怪以上の『化け物』なのね!!」
「……『半端者』とバカにされようが、『化け物』と罵られようが構わないさ……私は今、この国の全てを護るために戦っているのだからな……『ジャック』で無理矢理自分の意思に反することをさせられて、疲れただろう?国のことは私達に任せて、一足先に休んでくれ。妖術、“無阿有浄化”。」
「!?」
パァァァ・・・
慧音がそう言った瞬間、影狼の身体が光に包まれる。
「え?なに?この光……頭が……ッ!?この記憶は……!!」
「………」
「そ、そうだったのね……あんたも……辛かったでしょうに……ごめんな……さい……それと……止めてくれて……ありが……とう……」
ドサッ!!パリィィィンッ!!
次の瞬間、影狼は涙を流しながら気を失って倒れ、“月光招来”も解除され、元の昼間の景色に戻った。
「わかっているさ。同じ心を持っているのだから……悪いのは『ジャック』だ。目が覚めても、誰もおまえのことを責めたりなんてしないよ……そうだろ?ルーミア……」
そう言う慧音は色が元の青に戻り、角も消えていた。
「見事じゃぞい。『能ある鷹は爪を隠す』とはこのことじゃな。」
「よしてくれ。あんな無茶ができるのは満月の夜だけだ……あなたこそ、私達を助けてくれて、ありがとう……」
「別に儂は何もしとらんがの?小娘に携帯を投げ返して、後ろでただ観ていただけじゃぞい……お主の傷もお主が月の光を浴びて、勝手に治しただけじゃしな……」
(こ、行動だけ見れば、確かにそうだが、全部、計算してたんだろうな……どこまでも恐ろしい人だ……敵でなくて良かったと心底思うよ……)
「慧音先生。はい。帽子です。」
「おぉ。ありがとう。すまないな。危ない目に遭わせて……あ~と、先生の姿を見て、その……怖くは……なかったか?」
「いいえ。慧音先生、とってもカッコ良かったです!!例え、どんな姿でも……慧音先生は慧音先生ですから!!」
「……皆、同じことを言ってくれるな……本当に私は『幸せ者』だよ……」