ルーミアの秘密ともう一人の半妖

「はぁ!?あんた、いつの間にっていうか誰!?」

「あ!?どこ触ってんのよ!?」

「いんやぁ~、眼鏡を落としてしまってのぉ。確か、この辺りに……お?ピンクとはチャラチャラした格好の割には良い趣味しとるの。」

「し、死ね!!エロババア!!」

ズドォンッ!!

はたてはそう言いながら、携帯電話型の武器から妖力で作った光弾をマミゾウに向けて、放つ。

が、その瞬間、マミゾウの姿が消え、光弾は影狼に当たる。

「痛ぁっ!?ちょっと何すんの!?痛いじゃない!!」

「うるさい!!避けないあんたが悪いんでしょ!!」

「……はぁ?いきなり攻撃してきたのはそっちでしょ?あんたもあの半端者と同じく、『ジャック』の支配下にある私に逆らう気!?」

「え?ち、違う!!今のは逆らったとかそんなんじゃなくて!!」

「やれやれ。まるで子どもの喧嘩じゃぞい……遅れてすまんの。『扉』から出るのに手間取ってしまってな。」

「いや、良い……ありがとう。『外の世界』から来た……あなたなら無事だと信じていた……」

「薄っぺらな催眠術にかかる程、間抜けじゃないぞい。儂を誰だと思うておる?まったく……甘っちょろい考え方ばかりしとるから、攻められた時の対応が遅れるんじゃよ。はぁ~、情けないの……聖は一体何をしておるのじゃ?」

「聖は……痛っ!?」

「……よいよい。あまり無理して喋るな。大方、その傷もそこの娘を庇って、付けたんじゃろ?まったく。真っ昼間なのに無茶しおってからに……死んでしまっては元の子もないんじゃぞ?」

「あ、あの、あなたは一体……?」

「ほっほっほっ。お主の後ろにある店の店主じゃぞい。毎朝、寺子屋に向かう際、挨拶する仲じゃあないか。」

「!あ!蜂蜜屋のおばちゃん!?」

「うむ。『外の世界』を歩く場合は人間に化けた方が色々と便利での……いや、この国が異様なだけかもしれんがの。いかんいかん。儂も順調に平和ボケに毒されとるな……」

「おばちゃん!!お願いします!!慧音先生を助けてください!!先生、ずっと私のこと、守ってくれて……でも、私、何もできなくて……!!」

「ふむ。そう言われてものぉ。儂は元々『妖怪主権』を唱えておるしなぁ……寧ろ、儂にとっては願ったり叶ったりな状況なんじゃぞい。そう考えると、お主らを助ける理由もないじゃろ?」

「そ、そんな……」

「……っとこの国で世話になる前は言っておったであろうな。」

「……!」

「あれから五十年少々……すっかり居心地が良くなってしまっての。儂もこの国が如何にして世界を変えるか、興味が湧いたぞい……皆には世話になった恩もある……“力”を貸そう……」

「おばちゃん……ありがとう……ございますっ!!」

笑顔でそう言うマミゾウに対し、小鈴は泣きながらそう言った。
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