ルーミアの秘密ともう一人の半妖

居住区、菊・・・

「……妖夢からの連絡こないね……」

「えぇ。でも、こちらから連絡する手段がない以上、下手に動くと敵に見つかって、作戦に支障をきたすかもしれないわ……もう少しだけ待ってみましょう……」

(この辺りの景色も……大分変わっちゃったな……

こいしとさとりがそう話をするなか、二人と一緒に人間達の救出に向かっていたルーミアはそう思いながら、辺りを見渡す。

(……いや。あれからもう五十年も経ってるんだ……変わって当たり前か……)

「確かに長生きしていると、景色の移ろいが早く感じるわね。でも、山々に囲まれた澄んだ空気や空の色は何一つ、変わってないわ。当時の景観と違っていても……間違いなく、ここはあなたの『故郷』よ……」

「うん。そうだ……あ。え?」

「……ごめんなさい……私には心を読む能力があるの。普段は意識して読まないようにしてるんだけど……あなたの“声”が思ったよりも大きくてつい……」

「……なるほど……じゃあ、私がこの国から追放されてきたってこともバレてるんだね?」

「………………えぇ。」

「いや、良いんだ。この国に戻ってくるってわかった時点でごまかし通せるのもそろそろ限界と思ってたし。」

「?なになに?何のお話してるの?二人とも。」

「あぁ……えっと……説明しても良いかしら?」

「……あぁ……」

そうしたさとりは自分が能力で知った、五十年前、ルーミアが『妖怪の国』で起こした、人間や妖怪に対する大量人喰い事件のことについて、こいしに説明した。
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