信じる力

森の中の稽古場・・・

「……勝負ありだな……私の勝ちだぜ。博麗霊夢さん。」

「くっ……まだよ……あんたを……あの子達の所に行かせる訳には……」

静かな声でそう言う影魔理沙に対し、ボロボロになった霊夢はそう言いながら立ち上がる。

「それは私の仕事なんで無理だな……安心しろ。別にあいつらを殺す気はない。私の仕事はあくまで妨害だからな。そもそも、人殺しなんて性に合わねぇし……あんたもここで引き返した方が身のためだぜ?」

寺へと続く道・・・

「……まだ生きてますね。雷やミサイルが直撃したというのに……人間の分際でしぶといです……」

「う、うるせぇ……」

「はぁ……はぁ……あなた達を……この先には……行かせない……」

冷たい眼で見ながらそう言う寅丸に対し、ボロボロになった魔理沙とホープはそう言いながら立ち上がる。

「……立つのもやっとな今のあなた達に私達が止められるとは思いませんが……何故、そこまで必死になれるのですか?あなた達にとって、夜見さんは『赤の他人』じゃないですか……」

森の中の稽古場・・・

「『赤の他人』のために命を懸けるだなんて……おまえら、バカだぜ。そんなことして……おまえらにとって、何になるってんだよ……?」

「……確かにあの子とは『赤の他人』よ。世界を越えて、会いに来なかったら、知り合うこともなかった。でも、あの子はそんな『赤の他人』である私達を頼ってくれた。故郷であるこの国を……『ジャック』の“脅威”から救いたいと……」

寺へと続く道・・・

「泣きながら頼んできたんだ……友達を助けたいと……」

「……そんなこと、ボクらには関係ないよ……」

「……夜見は……元人間なんだってな……おまえらに出逢う前はかなり酷い目に遭ったんだろ?それで一時は何も信じられなくなって、苦しんでいた……そんな夜見がおまえらと出逢って、一つの夢を見つけたんだ……」

森の中の稽古場・・・

「『人間と妖怪がお互いに手を取り合う』……その世界を創るのが彼女の夢であり、唯一の生きる希望になった……まったく。普段はムスッとしてるくせに、本当は皆のことを想ってるなんて……まるで昔の魔理沙みたいだわ……」

「……だからっておまえらが自分の命を懸ける理由にはならねぇだろ……」

寺へと続く道・・・

「そんなことねぇさ。あいつが目指す世界を……私達も見てみたいからな……」

「………」

「最後にあいつ、恥ずかしそうにこう言ったんだ。『その世界を聖、寅丸、一輪、ナズーリンと一緒に見たいんだ。』ってな……」

「……実現不可能ですよ。そんな夢物語……笑い話にもなりません……」

「笑ってはくれなくても……」

「泣いてくれる人はいるみたいですよ……」

「!?」

魔理沙とホープがそう言うなか、いつの間にか、ナズーリンが涙を流していた。
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