それぞれの希望

『ウェズペリア』、『アトラン王国』、ナカムラ家、食堂・・・

「平行世界の……」

「『幻想卿』……?」

「えぇ……その『幻想卿』は私やにとり、阿号が住んでいた『幻想卿』とは違って、様々な国が存在していて、その国の一つ一つに『外の世界』への『扉と鍵』を管理する管理者と呼ばれている人達がいるの……」

その頃、魔法世界、『ウェズペリア』にある『アトラン王国』にあるナカムラ家の食堂にて、首を傾げながらそう言うノゾミとにとりに対し、紫は真剣な表情でそう説明する。

「八雲紫。それが私達とどう関係しているのだ?」

そんな紫に対し、阿号が真剣な表情でそう尋ねる。

「……その『幻想卿』に存在する国々の中に人間と妖怪が共存して暮らしている『妖怪の国』があるんだけど……その国で今、妖怪達が何者かにサイキック……所謂いわゆる、超能力で洗脳されて、人間達を襲い、捕らえるという問題が起きているの……」

対する紫はそう言いながら、出された紅茶を飲む。

「まっ。ただそれだけだったら、私も手を出す気はなかったし、態々わざわざこうしてあなた達に伝えにくる必要もなかったんだけど……」

「だけど……何ですか?」

紅茶を飲んだ後、そう言う紫に対し、ノゾミは首を傾げながらそう尋ねる。

「……今回、『妖怪の国』で起きている騒動を仕組んだサイキックの術者の背後に『Xマジンラー』が絡んでいるみたいなのよ……」

「「「!?」」」

対する紫が言ったその言葉にノゾミ、阿号、にとりの三人は動揺しながらそう反応する。

「術者の方はサイキックに操られずに済んだ夜見っていう半妖の子やその子が別世界の『幻想卿』から連れてきた助っ人の子達がどうにかするだろうけど……」

「なるほど……『Xマジンラー』が貸し与えているであろう怪人達を倒せる戦力が必要だという訳だな……」

「そういうこと。そこであなた達三人と私の方で用意した助っ人二人の五人に『Xマジンラー』の怪人達と戦う戦力として行って欲しいのよ。」

「?二人の助っ人?」

真剣な表情でそう尋ねる阿号にそう答える紫が言った『二人の助っ人』という単語に対し、ノゾミは首を傾げながらそう言う。

「彼女達のことよ……」

クパァ

「チカ!!」

「やぁ~ん♪」

対する紫がそう言った瞬間、近くにスキマが現れ、そこから九本の狐の尻尾と耳を持った金髪の幼女と狸の耳と尻尾を持った紫髪の幼女が出てくる。

「?紫さん。」

「その二人は誰だ?」

そんな二人を見た瞬間、にとりと阿号がそう紫に尋ねる。

「はじめまして!!私は異世界、『アクエリアス』の稲荷神の大妖狐、エリーチカ!!」

「うちはその補佐の妖狸のノンや!!よろしくなぁ♪」

そんな二人とノゾミに対し、金髪の幼女、エリーチカと紫髪の幼女、ノンがそう自己紹介をする。

こうしてノゾミ、阿号、にとり、エリーチカ、ノンの五人も『Xマジンラー』を追って、『妖怪の国』に向かうことになった。
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