プロローグ
異世界、『幻想卿』、『妖怪の国』、真夜中・・・
ここは一翔とスィンの娘、ノゾミの使い魔となったにとりと阿号がいた『幻想卿』とは違う、平行世界の『幻想卿』にある、人間と妖怪が暮らす国、『妖怪の国』・・・
「う~ん……すっかり遅くなってしまいましたね……」
真夜中、『妖怪の国』の中にあるとある森の中で金髪に紫のグラデーションが入ったロングウェーブに金の瞳の女性、聖 白蓮 はそう言いながら歩いていた。
ガサガサッ!!
「ん?」
すると、近くの茂みからそう言う物音が聞こえてくる。
「?誰か、そこにいるんですか?」
聞こえてきた物音に対し、聖は首を傾げながらそう尋ねる。
ガサッ・・・
「………」
すると、茂みの中から口元を黒いマントの襟で隠した、十三歳くらいの黒髪の少女が現れる。
「もし。こんな時間にこんな所で何をしているのですか?」
突然、茂みの中から現れた黒髪の少女に対し、聖は首を傾げながら、そう尋ねながら近づく。
「……来ないで……」
「え?」
「私に近づかないで……放っといて……」
が、少女は泣きながらそう言って、聖を拒絶する。
「『放っといて。』とは……それは何故?」
「……皆が私を忌み嫌う……私が醜いから……」
首を傾げながらそう尋ねる聖に対し、少女は泣きながら、そう言いながら首を外してみせる。
少女はろくろ首の半妖だった。
※ろくろ首は一般的な首が伸びるタイプと首が外れるタイプの二つのタイプがあります。By作者
「私が醜いから人間は『化け物』と言って嫌う……妖怪も『半端者』と言って嫌う……私だって好きでこんな姿になってまで生き返った訳じゃないのに………」
「………」
「私は何のためにこんな姿になってまで生き返ったの?……何のためにこんな姿で生き続けなきゃならないの……?」
「………」
「わからない……わからないよ……」
自分の生きる意味がわからない少女はそう言いながら、涙を流し続ける。
「……醜くはないですよ……」
「え?」
「自覚はないかもしれませんが、あなたはとても綺麗な顔をしています。だから、醜くはないです。」
「……怖くないの?……私が……」
「私はこう見えても普通の人よりも長生きですからね……妖怪も半妖も見慣れたものです……」
自分の首を元に戻しながら、戸惑いながらそう尋ねる少女に対し、聖は笑顔でそう言いながら近づく。
「え、えっと………」
「フフフ……私は聖白蓮。あなたは?」
「……夜見 ……柳下 夜見……」
笑顔でそう尋ねる聖に対し、少女、夜見は戸惑いながらもそう答える。
「夜見さん……ですか……良い名前ですね……」
「………」
対する聖は笑顔でそう言う。
「どうでしょう?夜見さん。生きる意味がわからないのであれば、私の寺に来ませんか?」
「え?」
「あなたの生きる意味……それを私も一緒に考えさせて欲しいのです……」
戸惑いを隠せない夜見に対し、聖は優しい笑顔でそう言う。
こうして二人は出逢った。
ここは一翔とスィンの娘、ノゾミの使い魔となったにとりと阿号がいた『幻想卿』とは違う、平行世界の『幻想卿』にある、人間と妖怪が暮らす国、『妖怪の国』・・・
「う~ん……すっかり遅くなってしまいましたね……」
真夜中、『妖怪の国』の中にあるとある森の中で金髪に紫のグラデーションが入ったロングウェーブに金の瞳の女性、
ガサガサッ!!
「ん?」
すると、近くの茂みからそう言う物音が聞こえてくる。
「?誰か、そこにいるんですか?」
聞こえてきた物音に対し、聖は首を傾げながらそう尋ねる。
ガサッ・・・
「………」
すると、茂みの中から口元を黒いマントの襟で隠した、十三歳くらいの黒髪の少女が現れる。
「もし。こんな時間にこんな所で何をしているのですか?」
突然、茂みの中から現れた黒髪の少女に対し、聖は首を傾げながら、そう尋ねながら近づく。
「……来ないで……」
「え?」
「私に近づかないで……放っといて……」
が、少女は泣きながらそう言って、聖を拒絶する。
「『放っといて。』とは……それは何故?」
「……皆が私を忌み嫌う……私が醜いから……」
首を傾げながらそう尋ねる聖に対し、少女は泣きながら、そう言いながら首を外してみせる。
少女はろくろ首の半妖だった。
※ろくろ首は一般的な首が伸びるタイプと首が外れるタイプの二つのタイプがあります。By作者
「私が醜いから人間は『化け物』と言って嫌う……妖怪も『半端者』と言って嫌う……私だって好きでこんな姿になってまで生き返った訳じゃないのに………」
「………」
「私は何のためにこんな姿になってまで生き返ったの?……何のためにこんな姿で生き続けなきゃならないの……?」
「………」
「わからない……わからないよ……」
自分の生きる意味がわからない少女はそう言いながら、涙を流し続ける。
「……醜くはないですよ……」
「え?」
「自覚はないかもしれませんが、あなたはとても綺麗な顔をしています。だから、醜くはないです。」
「……怖くないの?……私が……」
「私はこう見えても普通の人よりも長生きですからね……妖怪も半妖も見慣れたものです……」
自分の首を元に戻しながら、戸惑いながらそう尋ねる少女に対し、聖は笑顔でそう言いながら近づく。
「え、えっと………」
「フフフ……私は聖白蓮。あなたは?」
「……
笑顔でそう尋ねる聖に対し、少女、夜見は戸惑いながらもそう答える。
「夜見さん……ですか……良い名前ですね……」
「………」
対する聖は笑顔でそう言う。
「どうでしょう?夜見さん。生きる意味がわからないのであれば、私の寺に来ませんか?」
「え?」
「あなたの生きる意味……それを私も一緒に考えさせて欲しいのです……」
戸惑いを隠せない夜見に対し、聖は優しい笑顔でそう言う。
こうして二人は出逢った。
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