それぞれの別れ

ターミナル・・・

全ての黒幕であるケルベロスを倒し、歪まされた『時空』を修復させることに成功した後、電王達は変身を解き、手元に残った『魔界列車』のチケットを使って『魔界』から脱出、ターミナルまで戻った。

「じゃあ、僕達は元の時代へ帰るついでに流牙さんと莉杏さんと阿号さん、晴斗さんと仁藤さんを元の時代に送ってくよ。侑斗は先に帰ってて。姉さんに事情の説明もお願い。」

「わかった。」

「じゃあね。爺ちゃん。また一緒に戦えて嬉しかったよ。」

「幸太郎も元気でね。」

「じゃあなぁ~!!皆!!」

「また何処かで会おう!!」

「じゃあな!!おデブ!!テンドン!!」

「またねぇ~♪」

そうして侑斗とデネブはゼロライナーに、幸太郎とテディはNewデンライナーに乗って、走り去っていく。

「!?何やこれは!?」

「!?おまえ、どうしたんだよ!?」

「………」

が、突然、キンタロスと仁藤が阿号を見ながらそう困惑の声を上げる。

サァァァ・・・

『!?』

「………」

見てみると、阿号の身体が仁藤に倒された時のガオウのように砂になり始めていた。

「……やはりこうなったか……」

「阿号!!」

「どうして!?」

どんどん砂になっていく自分の身体を見ながら、阿号が冷静にそう言うなか、流牙と莉杏はそう困惑の声を上げる。

「オーナー。これは……」

「阿号君もまた、ネガタロスや牙王同様、ケルベロスが歪ませた『時空』の影響によって復活した存在です。ケルベロスが倒され、歪まされた『時空』が修復した今、死人である彼はこの場に存在できなくなっているのでしょう。」

「そんな!!色々と助けてくれたのに!!」

「なんとかならないんですか!?」

ハナの問いに冷静にそう答えるオーナーの言葉に莉杏がそう言うなか、流牙はそうオーナーに尋ねる。

「残念ながら不可能です。なにせ死人である彼をこの場にとどまらせるということは『時空』を歪ませることになりますから……」

「そういうことだ。」

対するオーナーはそう答え、阿号はそう言いながら流牙と莉杏の方を向く。

「魔戒騎士と魔戒法師、いや、流牙。莉杏。おまえ達と共に戦えて良かった……これからはソウタツ法師と共におまえ達のことを見守ることにしよう……」

「阿号……」

「ッ……」

「流牙……私と法師の“夢”……託したぞ……」

「……あぁ……」

その流牙の返事を聞いた後、阿号は微笑みながら、流牙達に見送られながら砂となって消滅した。
1/3ページ
スキ