「ふぅ……まっ、こんなところか……」

怪人を倒した後、ウィザードはそう言いながら変身を解く。

「それにしてもあの怪人、妙なことを言っていたな……『食事』だとか『魔戒騎士』だとか……」

晴斗は先程まで戦っていた怪人に何か違和感を感じていた。

「もしかして、さっきの怪人は」

「『ファントム』じゃねぇな……」

「！？」

晴斗の言葉の最中、一人の青年がそう言いながら現れる。

彼の名は仁藤功介。古の魔法使い、仮面ライダービーストに変身する青年で晴斗と同様、人々の“絶望”から生まれる怪人、『ファントム』と戦う“宿命”を背負った者の一人である。

「仁藤……」

「よっ。おまえも遭遇したみてぇだな。あの悪魔みてぇな奴と……」

「ということはおまえもか？」

「まぁな。倒しはしたけど、喰えなかった。いや、喰えたとしても俺もキマイラも腹壊すな。ありゃあ……」

「？どういうことだ？」

仁藤の『喰ったら腹を壊す。』という単語に引っ掛かった晴斗は首を傾げながら、そう尋ねる。

「んー、何て言えば良いのか……あの怪人にはすげぇ嫌なもんが凝縮されているような気がしてな……」

「……一体何なんだ？あの怪人は……」

「わっかんねぇ。ただ……」

「ん？」

「……俺達の知らないところで“何か”が動いているかもしれねぇ……」

「………」

真剣な表情でそう言う仁藤の言葉に、晴斗も真剣な表情になる。

そうしている間に新たな“脅威”は徐々に迫っていた・・・