「ノア。今から画像データを送るわ。アコと協力して、ネットワークに侵入して画像に関する情報を調べ上げて頂戴。」

『わかりました。お任せ下さい。』

「えぇ、頼りにしてるわ……『船』の方はどう？」

『六割といった所ですね。すみません。私が全て記録できていれば良かったのですが……』

梨紗にそう尋ねられた少女、生塩（うじお）ノアは申し訳なさそうにそう答える。

「それは言わない約束よ、ノア。私もそうだったんだから……」

『………ごめんなさい。梨紗姉さん。』

「良いのよ。ノア。貴女も精一杯頑張ってくれているのだから……では頼んだこと、頼むわね。アコにもよろしく言っといてね。」

『はい。お帰りをお待ちしています。』

そうしてノアとの通信を切る。

「梨紗ぁー。アフォガートの注文が入ったからお願～い。」

「はぁーい。」

その後、注文が入った梨紗は調理に取りかかった。

駅前ビル・・・

「ありがとう、三人とも。刑事さんにもお礼言っといてね。」

カフェで一通り話をして出た後、沙保里は改めてそう三人にお礼を述べる。

「沙保里さん、今夜は一緒にいません？」

「！良いよ！なら、家においでよ！！」

「本当ですかぁ！？なら、皆でパジャマパーティーしません！？」

「それ良いねぇっ！！」

「やったぁっ！！なら私、ちょっと荷物を取りに戻りますねぇ！！……二人とも、暫くお願いね。無理はしないように。『いのちだいじに』！だからね。」

「は、はぁ……」

「了解しました。」

「じゃあ、行ってきますねぇ～♪」

そうして千束は一旦リコリコへと戻っていった。

「元気な子ねぇ……こっちも元気が出ちゃった。」

「私は正直不安ですよ。あの人……」

「同感です。」

残された三人はそう話しながら沙保里の自宅へと向かって歩きだした。

？？？・・・

「おい。動いたぞ。」

「急に三人増えたと思ったら、一人減りましたね。」

「それでも二人、余計なコブが付いてやがる。あんなのが護衛だとは思わないが……慎重にいくぞ……」

その頃、千景達から少し離れた場所にある白いワンボックスカー内にて、作業着にサングラスをした複数の男達が千景達を見ながらそう話をする。

ブロロ……

なるべく千景達に気付かれないようにワンボックスカーは静かに動き、尾行を始める。

「まぁ、コブ付きは俺達もですけど……」

そんななか、灰色の短髪の若い男がそう言いながら自分の後ろの座席を見る。

「………」

そこにはブロンドのポニーテールにワインレッドのYシャツ、黒のブレザーに黒の膝までのスカート、黒いニーソックスに赤い靴を履いた少女が腕を組んで足組みしながら座っている。

一見十四歳程の普通の少女に見えるが、目元を隠す赤いレンズの機械的なバイザーと左腰に差している鍔のない赤い鞘と柄の刀が異様さを漂わせる。

「………」

先程の男の言葉が気に障ったのか、少女はバイザーの向こうから冷たい視線を向ける。

「ッ！？」

「バカッ！下手なことを言うと、俺らが殺られるぞっ！！」

「す、すみませんっ！！」

「いずれにしよあのコブ二つはどうにかしないとな……」

直後に怒鳴る隣の頬が痩けた黄色い髪の男に灰色髪の男がすぐさま謝罪するなか、助手席にいるリーダー格である赤髪パーマの男がそう言った。