プロローグ

マフィア組織アジト付近・・・

「こちらエコー01。位置に着いた。」

たきな達と共にマフィア組織のアジト近くまで移動した後、廃ビルの影に身を隠しながら、正面玄関前にいる黒服にサングラスをかけたイタリア系の白人男性二人を観察しながらフキはインカム越しにそう言う。

『こちらエコー05。屋上の様子に変化はないわ。』

すると次の瞬間、インカムから凛としながらも意志の強い少女の声が聞こえてくる。

「そうか……いけるか?梨紗。」

『問題ないわ。』

「それじゃあ、狙撃開始。」

『了解。』

それから5、6秒かした後、正面玄関前にいる二人のマフィアが慌て始める。

「!?」

『屋上、クリア。』

その様子にたきなが軽く驚いた様子を見せるなか、インカム越しに梨紗からフキにそう連絡が入る。

「了解。たきな。この距離はイケるか?」

「は、はい。大丈夫です。」

「なら、片方は頼む。もう片方は私がやる。」

「わかりました。」

「それじゃあいくぞ。」

「はい……っ!!」

パシュッ!パシュッ!!

「ガッ!?」

「ぐわっ!?」

ドサドサッ!!

次の瞬間、フキとたきなは二人のマフィアを射殺する。

「よし……こちらエコー01、正面玄関前、クリア。これよりエコー02、03、04と共にアジトに乗り込む。」

『こちらエコー05。目標に依然動きなし。但し、他の階の人員に動きあり。注意して。』

「了解…行くぞっ!!」

「はいっ!!」

「は、はいっ!!」

「りょ~かい。」

そうして四人はアジトに乗り込んだ。

アジト内、三階・・・

ダダダッ!!ダダダッ!!

パシュッ!!

「ぐはっ!?」

ドサッ!!

マフィア組織のアジトである廃ビル内の三階にて、辺り一面に機関銃による銃声が響き渡るなか、低空姿勢で駆ける赤い制服の少女、フキが放った銃弾が一人のマフィアの命を散らす。

「くっ……このガキッ!!」

そんなフキに対し、一人のマフィアがそう言いながら機関銃を構える。

パシュッ!!

「ガッ!?」

ドサッ!!

が、それより先にたきなが死角から放った銃弾により倒れる。

「……よし。」

「これでこの辺りはクリアですね。」

「こっちもクリアしたよ。」

たきなが撃ち抜いたマフィアの絶命を確認したフキとたきながそう言うなか、ヒバナがそう報告しながらエリカと共に合流してくる。

『こちらエコー05。四階にいた目標が数人の部下を連れて救助袋でその廃ビルから脱出。そのまま付近にある組織所有の廃工場に逃げ込んだわ。』

アジトに乗り込んだ後、一階二階と制圧クリアし、三階も制圧クリアしてみせた四人にインカム越しに梨紗から連絡が入ってくる。

「!?それは本当か!?梨紗!」

『えぇ、恐らく例のヤツもそこにあるわ。』

その報告を聞いて僅かに動揺しながらそう尋ねるフキに対し、梨紗はそう答える。

「そうか……一応聞いておくが、回収する気は」

『ない。アレはなにがなんでも破壊する。』

「即答かよ……わかった。私とたきなは三階の救助袋を使って下りて追跡する。エリカとヒバナは討ち漏らしがないか確認しながら階段側から下りて後から来てくれ。」

「わかりました。」

「は、はいっ!!」

「了解。」

「梨紗はそのまま目標の様子を観察。必要とあらば、狙撃で援護も頼む。」

『了解。』

「それじゃあいくぞっ!!」

そうしてフキとたきなは救助袋を使って、エリカとヒバナは階段を駆けて目標であるボスを追跡した・・・





廃ビル付近・・・

近くにある廃工場に逃げ込んだボスと数名の部下を追って、廃ビルの三階の窓から出した救助袋を使って外に出たフキとたきなは廃工場への出入口を確認した後、互いに顔を見合わせ頷いてから廃工場内に入ろうとする。

『こちらエコー05。万が一の逃走用だと思われる装甲車輌が一台確認されたわ。今は誰も乗ってないけど、破壊しとく?』

が、直後に梨紗からそう言う連絡が入ってきた。
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