理想と現実

「お待たせしました。」

「?アイスは頼んでないわよ?」

数分後、梨紗がそう言って一杯のエスプレッソと一緒に出してきたバニラアイスを見ながら、ミズキは首を傾げながらそう言う。

「こちらはアフォガートと言って、こちらのエスプレッソをバニラアイスにかけて一緒に楽しむコーヒー……最近、〆のアイスとか聞いてたからこれが良いと思ってね。」

「なるほどね。それなら……」

ミズキはそう言いながらエスプレッソをバニラアイスにかける。

熱いエスプレッソがかけられたことでバニラアイスは少しだけ溶け、コーヒーの黒とアイスの白が混ざり合う。

千束や伊藤達が興味本位に見守るなか、ミズキはアイスを一掬いして口に運ぶ。

「ん…!なんだか不思議ね……!!これ、クセになる!!」

次の瞬間、ミズキはそう言いながら、目を輝かせながらアイスを食べ続ける。

「美味しそう……」

「そうね……私にもそれ、貰えない!?」

「私にもお願いします!!」

「うぉっ!?」

その様子を千束がそう言いながら見ているなか、伊藤と北村はそう言いながら注文してくる。

「畏まりました。」

そんな二人に対し、梨紗はそう言いながら手早くアフォガートを用意する。

「千景、たきな。持っていってあげて。」

「はい。姉さん。」

「了解です。」

そうして二人はそう言いながらアフォガートを伊藤と北村に運ぶ。

「ん!確かに美味しい!!これ、前に頼んだバニラアイスよりも美味しい!!」

「確かに……バニラアイスの濃厚な牛乳の甘味とエスプレッソの奥深い苦味が絶妙にマッチしてますね……!!」

対する二人はそう言いながらアフォガートを堪能する。

その日、リコリコのメニューに新たにアフォガートが追加された。
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