活気づく喫茶店

「おっ久ぁ~♪」

「お、お久しぶりです……イチカさん、来弥さん……」

帰ってきた二人に対し、二階のイートインスペースからムツキとハルカがそう話しかける。

「あ!便利屋の人達じゃないッスか!!」

「お久しぶりです。ニンニン。」

「戻ってきたか。二人とも……今から彼女達からライブの件で話を聞くところだから、上がってきなさい。」

「了解ッスゥー♪」

「了解です。ニンニン。」

「ん?ねぇ。あの子達は何処かで『仕事』でもしてきたの?」

ミカに促された二人が上がってくるなか、アルが偶々近くにいたたきなにそう尋ねる。

「そうですね……今日は確か保育園に」

「保育園!?」

まさかの『保育園』という単語にアルは思わずそう困惑の声を上げる。

(え?カヨコ課長の話じゃリコリスって要するに政府が飼ってる殺し屋みたいなものってことよね?殺し屋二人が保育園に……?)

「あ!言っとくけど、リコリコうちは基本殺しそういうことはしない方針だから、そこは安心してね。」

そう思いながら困惑しているアルに対し、千束がすかさずそう説明する。

「え?そう……なの?」

「あぁ。そもそもリコリコここは『不殺』を貫く千束のために設立されたと言っても良いからな。」

思わずそう呆けた声を上げるアルに対し、ミカがそう説明する。

「そうなのね……差し支えなければ、理由を聞いても良いかしら?」

「理由、ですか?そうですね……」

そう尋ねるアルに対し、千束はそう言いながら顎に右手の人差し指を当てる。

「……あっちにも帰る場所があったりするでしょ?死んじゃったらその人達が悲しむじゃん。それは元も子もない気がして……」

「……そう……」

「そういえば、便利屋そちらでも非殺傷ゴム弾を使っているんですよね?」

「何か理由があるんですか?」

そんななか、今度はひなたとたきながそう尋ねる。

「フッ……無駄な殺生は三流の悪党がすること……ただそれだけよ。」

(余計な恨み買いたくないし。)

「「おぉ……っ!!」」

「ビルを爆破した時点でもう既に悪党なんじゃ……」

「悪党じゃない!!アウトローよ!!私達は!!!」

「意味がわかりません……」

「便利屋なりのこだわりってやつでしょ~。」

堂々とした態度でそう言い張るアルにたきながジト目で見ながらそう言うなか、一階でいつもの酒盛りをしていたミズキがそう言う。

「あ、あの。こんな時間からお酒飲んでて良いんでしょうか……?」

「まぁ、今日は便利屋きみたちから話を聞くために店は貸切状態にしているから大丈夫だろう。」

「いや、なに今日は特別にみたいな言い方しているんだ?ミカ。」

「普段からよく見るわよね。アレ。」

「ダメじゃん。おじさん。」

そんなミズキを見ながらそう尋ねるハルカにそう説明するミカに対し、クルミと千景、ムツキの三人はそうツッコミを入れる。

「……ミズキも久しぶりだね。」

「ん、久しぶりねカヨコ。もう二十歳越えてんでしょ?付き合いなさいよ〜。」

そんななか、そう話しかけるカヨコに対し、ミズキは酒を淹れた湯呑みを突きだしながらそう言う。

「今日は千束達に事情を説明しに来たからその後でね。」

「それじゃあ、知らない奴もいるだろうから先ずは互いに自己紹介といくか。」

「そうね。便利屋が今回受けたという依頼についてはその後で……」

対するカヨコがそう言うなか、ミカと梨紗はそう言った。
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