プロローグ

「………」

「……なに?」

「いえ…あ。これ……」

たきなはそう言いながら先程、回収したハンドガン…デザートイーグルとアンカーガンのアタッチメントを梨紗に手渡す。

「あぁ、ありがとう……」

対する梨紗はそう言いながら受け取ったアタッチメントを左腰に付け、デザートイーグルは記録を終えたPDIと共にサッチェルバッグの中に仕舞う。

「いえ。ところで……」

「ん?」

「その……脚は……」

「……あぁ、義足じゃなくて生身は付いてるから安心して。
っといってもちょっとした障害で動かしにくくてね……」

所謂いわゆる『補助装置』ってやつだ。」

「補助装置……」

「そっ。因みに今、着けてるのは任務用っていうか戦闘用だからちょっとやそっとじゃ壊れないわ。」

「なるほど……」

右脚の爪先で軽くタップしながらそう言う梨紗の説明に対し、たきなはそう言いながら改めてその右脚を覆う補助装置を観察する。

先程とは違い、今は光など発せずただの銀のパワードスーツにしか見えない。

(あの時の光やジャンプ力はこの補助装置の恩恵なのだろうか……)

「………」

「……なに?私の脚がそんなに珍しいかしら?」

「ッ!?」

(しまった……少し見すぎた……)

「……失礼しました。梨紗さん。」

補助装置を注視し過ぎたことを反省しながら、たきなは頭を下げながらそう謝罪する。

「まぁ、別に良いけど……迎えの回収班は後、どれくらいで着く?フキ。」

「あぁ、司令に報告した時に一時間後と言われたから後十分くらいだな。」

「そう……」

「しかし無傷とはいえ、見事に制服がぼろぼろだな……」

「そうね。おまけに髪留めに使っていたゴムもさっきの砲撃で失くなっちゃったし……」

すっかりぼろぼろになった制服を見ながらそう言うフキに対し、梨紗はポニーテールじゃなくなった髪に手を当てながらそう言う。

「報告の時にでも司令に新しい制服も頼まないとな……」

「そうね……」

「新しい制服はフキと同じ赤に変わってたりして♪」

「確かに……」

フキと梨紗がそう話をするなか、梨紗の新しい制服について、ヒバナとエリカは笑顔でそう言う。

「!?」

(赤……ということはフキさんと同じファーストにっ!?)

そんななか、梨紗がファーストに昇格するかもしれないという話にたきなは一人驚愕する。

(これまでの話から察するに梨紗さんはDAに入ってからまだ二年でセカンドになっている……もし、二人の言うようにファーストに昇格するとしたら……っ!?)

それは以前、京都支部にいた頃に先輩リコリスから聞かされた、七歳にしてファーストとなった『電波塔のリコリス』と同様の異例の出世である。

そのことに気付いたたきなは驚愕すると同時に戦慄する。
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