復活の歌姫

ドカァァァンッ!!

「きゃあああああっ!?」

が、ロケット弾は多目的ワゴン車から大きく外れ、空中で爆発する。

「ば、爆発したぞっ!!大丈夫なのかっ!?」

「大丈夫ですっ!!チャフを蒔いて弾頭を撹乱させて反らしましたっ!!それよりも千束さん、たきなさんっ!!タイヤを撃ち抜いて相手の足を止めて下さいっ!!」

慌てながらそう言う奏にそう説明しながら、ノアがそう二人に指示を出す。

「う、うんっ!!」

「了解しましたっ!!」

ドォンッ!!ドォンッ!!

パァンッ!!パァンッ!!

対する二人はそう言いながら、複数の追跡車の内の一台のタイヤを集中的に射撃する。

キィンッ!!キィンッ!!キィンッ!!キィンッ!!

が、二人の銃弾タマは全て弾かれ、パンクする気配がない。

「うっそぉっ!?」

「タイヤも防弾仕様……っ!?」

「ッ……たきなさん、ちょっと代わって下さい……っ!!」

千束とたきながそう困惑の声を上げるなか、ノアはそう言いながら銀色の近未来的な銃を取り出し、たきなと入れ替わりにハッチから身を乗り出し構える。

「!?あの銃は一体……」

「え?なに、そのSF」

ビュンッ!ドカァァァンッ!!

ガッシャンッ!!

「銃……」

たきなと千束が首を傾げながらそう言うなか、ノアが構えた銃…ハイパーガンの銃口から放たれた一筋のレーザーが複数の追跡車の内の一台のタイヤを破壊。破壊された車は他の追跡車を巻き込みながらその場で停車する。

幸いなことに他の一般車が巻き込まれることはなかった。

「ちょっ、ノアちゃん!あの位置じゃ後続車が巻き込まれるじゃん!他の人が巻き込まれたらどうするの!?」

その後、パソコンの前に戻るノアに対し、千束がそう苦言を呈する。

「一般車を巻き込まず、追跡車のみが巻き込まれるのを予測できていたから撃ったんです……っ!!」

「でも……っ!!」

「千束っ!!」

「ッ……」

ノアに食いかかろうとする千束に対し、たきながそう言いながら止める。

「千束さん、貴女の気持ちは分かります。ですが今、私達は何万という人の命を預かっている状況です。既に開演し、梨紗姉さんが時間を稼いでいる………もう一刻の猶予も無いんです。ここで敵を救って何万の命を捨てるか、敵を放って何万の命を守るか。時と場合によっては、命の取捨選択をしなければならない事を、忘れないで下さい……」

「ッ……」

「千束……」

真剣な表情でそう言うノアの言葉に、千束は堪えるように下唇を噛みしめながらうつむく。

その後、千束達を乗せた多目的ワゴン車は会場へと走っていった。
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