復活の歌姫

「………来たか。Cシャドウ………」

「あんなあからさまな殺気をピンポイントでぶつけておいて、よく言うわよ………ご丁寧に公園の出入口に立ち入り禁止の看板なんか置いて………」

「ふん……これまでみたいな横槍を入れられたくないからな……」

その頃、ライブ会場近くにある『代々木公園』にて、ブラッディーリーフと千景は真剣な表情でそう話しながら対峙する。

「それにしても貴女、今回はバイザーじゃなくて眼帯なのね。」

対峙した後、千景はブラッディーリーフが左目に着けている、白い牙が並んだ顎のようなデザインの眼帯を見ながらそう言う。

「ふんっ。そう言う貴様とて、これまでとは違うものを着けているな。」

対するブラッディーリーフは千景が着けている指ぬきグローブを見ながらそう言う。

「決まってるでしょ………」

対する千景はそう言いながら両腰のCHGを引き抜く。

「今度こそ、貴女を殺す……」

「フッ……」

真剣な表情でそう言いながら二丁のCHGを構える千景に対し、ブラッディーリーフは獰猛どうもうな笑みを浮かべながら抜刀の構えを取る。

「………」

「………」

互いに構えた後、二人は数秒間睨み合う。

「……フッ!!」

ドォンッ!!ドォンッ!!

先に千景が構えた二丁のCHGから銃弾をブラッディーリーフに向けて、発砲する。

「フッ!!」

パァァァァァンッ!!

対するブラッディーリーフは素早く刀を引き抜き、千景の二発の銃弾を粉砕する。

「!?その刀………」

ブラッディーリーフが引き抜いた新たな刀を見て、千景は更に険しい表情を浮かべる。

全体的に黒く刃波が黒紫色、鍔が黒い太陽のような形をしているその刀は以前の凶星を彷彿とさせつつ、禍々しさが増している。

「ッ……」

その刀に千景はゾワリと嫌な気配を感じると同時に胸の奥から怒りが沸いてくるのを感じ取る。

「……そんな刀を貴女が握っている……その事実がどうしてこうも頭にくるのかしらね…っ!!」

ドォンッ!!ドォンッ!!ドォンッ!!ドォンッ!!ドォンッ!!

千景はそう言いながら、左手のCHGで数発の銃弾を放ちながらブラッディーリーフに向かっていく。

「ッ!!」

ガキキキキキィィィンッ!!

対するブラッディーリーフはリボンズから与えられた新たな刀、『禍津日神まがつひのかみ』を振るい、千景の銃弾を斬り落としていく。

その間に千景は右手のCHGを変形させ、右腰に差してある自身の新型ソードと接続させる。

「フッ!!」

接続させた後、ブラッディーリーフの“結界”内まで入った千景は引き抜いた右手の新型ソードCHGで斬りかかる。

「ッ!!」

ガキィィィンッ!!

が、ブラッディーリーフはすぐさま反応し、千景の新型ソードCHGを禍津日神で受け止める。

「新たな剣を用意してきたか……っ!!」ガキキ…

「貴女もね……っ!!」ガキキ…

ガキィィィンッ!!

互いにそう言葉を交わした後、ブラッディーリーフと千景は互いに相手の得物を弾きながら距離を取る。

「ッ!!」

ダダダァンッ!!ダダダァンッ!!ダダダァンッ!!

その直後、千景は左手のCHGをMP7モードにして連射射撃する。

「ッ!!」

バシバシバシィッ!!バシバシバシィッ!!バシバシバシィッ!!

対するブラッディーリーフは禍津日神を振るって、放たれた銃弾を全て斬り捨てる。

「ッ……」

その間に千景は左手のCHGを前に翳し、右手の新型ソードCHGを肩の上にくるように構える。

ゴォォォ……ッ!!

「!?」

(ジェット機のエンジン音?)

そんななか、ブラッディーリーフはジェット機のエンジン音が聞こえたような感覚を感じながら、禍津日神を一旦納刀し構える。

カァァァ……

一方で千景の新型ソードからは赤い光の花弁が溢れだし、刀身が紅く輝きだす。

(いける……!応えなさい!大葉刈!!)

カアアアアアアッ!!

ゴオオオオオオッ!!

千景のその想いに呼応するように輝きが増し、エンジン音も大きくなる。

「フッ!!」

ドォンッ!!

次の瞬間、千景は強力な突進技……『ヴォーパル・ストライク』を繰り出す。

「……はぁっ!!」

ガキィィィンッ!!

対するブラッディーリーフはタイミングを合わせて居合斬りを放ち、受け止める。

ギィィィィィ……ッ!!

千景の新型ソードとブラッディーリーフの禍津日神はぶつかり合い、拮抗する。

ガキィィィンッ!!

「くっ!?」

が、ブラッディーリーフの方が後方へと弾き飛ばされる。

「フッ!!」

ダダダァンッ!!ダダダァンッ!!

弾き飛ばされたブラッディーリーフに対し、千景はすかさず左手のCHGで追撃する。

「ッ!!」

対するブラッディーリーフはその銃弾を掻い潜りながら斬りかかってくる。

「ッ!!」

ガキィィィンッ!!

千景はすぐさま右手の新型ソードで受け止める。

同時に左手のCHGからMP7をバージし、変形させて左腰に差している梨紗の新型ソードに接続する。

「フッ!!」

次の瞬間、左腰の新型ソードCHGを逆手で抜刀すると同時に右手の新型ソードCHGでブラッディーリーフの禍津日神を受け流し、

「はぁっ!!」

左手の逆手で構えた新型ソードCHGで斬りかかる。

ガキィィィンッ!!

「!?」

「………」

が、ブラッディーリーフは禍津日神から離した右手の甲で千景の新型ソードCHGを受け止める。

(手甲……っ!?)

「くっ……!!」

「………」

ブラッディーリーフの右手に嵌められている手甲に気付いた千景は少しの間、ブラッディーリーフと力比べをする。

「「ッ!!」」

ガキィィィンッ!!

が、互いに同時に後退しながら距離を取る。

「……二刀流か……」

「えぇ。貴女を殺すために身に付けてきたわ。」

「そうか………なら、その努力に応えるとしよう………」

「!?なんですって?」

「とくと見るがいい………リボンズ様から与えられた、我が新たな“力”を……っ!!」

ブラッディーリーフはそう言いながら、左目に着けている眼帯に手をかける。

ヒュウウウ……

その瞬間、ブラッディーリーフの周りに風が吹き始め、小石を舞い上がらせる。

ブワアアアアアアアッ!!

「!?」

ブラッディーリーフが眼帯を外した瞬間、殺気と重圧プレッシャーが膨れ上がると同時に空間内を支配するかのように風が吹き荒び、舞い上がった小石が真っ二つに斬られていく。

(あの……眼は……っ!?)

明らかな異常現象が起きているなか、千景は露になったブラッディーリーフの左目に釘付けになる。

その眼は右目のような光のない濁ったすみれ色ではなく、虹彩は赤で瞳孔は黒、黒い瞳孔の中には黄金の五芒星が輝いている。

(そうまでして……私を殺したいようね……っ!!)

「……『トランザム』。」

パァァァ……ッ!!

その眼が放つ不気味な輝きに千景がそう思いながら戦慄するなか、ブラッディーリーフがそう呟いた瞬間、ブラッディーリーフの身体が赤く発光し始めた。
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