復活の歌姫

千景Side

「眠れぬ夜 見上げれば星達が
いつだって聞いてくれた
『信じてるの。でも本当は怖くて…』
涙をつたう頬に舞い降りたmy shooting star」

「うわっ、すっご………………とんでもない盛り上がりっすよ……」

「最近の特集に加えて、世界的アーティストである『ツヴァイウイング』の憧れという話から『鳴護アリサ』の名は知れ渡っている。ましてや『ツヴァイウイング』のファンなら……」

舞台袖口でそう驚きの声を上げるサクラとそう話しながら、千景は二丁のCHGを点検し、実弾入りのマガジンを装填する。

セーフティーを掛けた後、いつものサッチェルバッグではなく、太もものホルスターにしまう。

「っ……」

そのことにフキが表情を険しくさせる。が、千景はお構い無しにMP7カートリッジとソードカートリッジを確認する。

「おい。千景、まさか……」

「……奴よ。どうやら私に用があるみたいだから行ってくる。でないと、何をするかわからないから……フキさん、乙女さん。姉さんのことをお願い……」

千景は真剣な表情でそう言いながら、指ぬきのグローブを着けながら舞台裏を後にする。

「………」

「ちょちょっ、先輩、良いんすかっ!?」

「恐らく殺気を感じたんだろうな。それも自分一人に向けられたものを……」

「……前に司令が言ってた『第六感』ってやつっすか……」

「自分の装備一式だけでなく、梨紗の装備一式も着けてフル装備。加えて普段は着けないグローブまで着けている。本気中の本気、全力で叩き潰すつもりだろう」

サクラが戸惑いながらそう言うなか、フキは先程までの千景の様子を思い起こしながらそう言う。

「どのみち梨紗が動けない今、対抗できるのは千景しかいない……なら、彼奴あいつに任せるしかないだろう。サクラも持ち場に着け。」

「……了解っす。」

そうしてサクラも裏口へと向かう。

つのる想いこの空高く積み上げたならば
届くかな?…きっと届く!to wish your happiness
君の笑顔でまたone step だから受け止めて
夜空に飛び交う星屑に願い閉じ込める」

「………良い歌声だな………料理といい、歌といい………やっぱりおまえはリコリスには勿体ない・・・・だろう………」

楽しそうに歌う梨紗かつての相方を見ながら、フキは静かにそう呟いた。
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