復活の歌姫
(お母さん……)
その頃、イベント会場の控え室にて、周囲のスタッフが緊張した面持ちで見守るなか、梨紗はそう思いながら姿見を見つめる。
そこに映る梨紗は展示エリアから借り受けた、当時の鳴護アリサが着ていた衣装に身を包み、彼女と同じ桃色のウィッグを被り、メイクも当時と同じメイクが施されていた。
「姉さん、準備は……」
そんななか、千景がそう言いながら様子を見に来る。
が、今の梨紗を見た瞬間、固まってしまう。
「?千景、どうしたの?」
「い、いえ、あまりにもあの人に似ていたものでしたから……」
「そうね……私も少し驚いたわ。元から母親似だという自覚があったけど、ここまでとはね……」
梨紗はそう言いながら左耳にかかったウィッグの毛を搔き上げる。
「っ!?」
その何気無い仕草に千景は今は亡き梨紗の母親である朝鳴桜歌の面影を垣間見る。
「それで、報告は?」
「え、えぇ。地下のエリアは完全に封鎖完了、警備も配置してあるわ。フキさんは舞台袖で待機。乙女さんは裏口で『ツヴァイウイング』の到着待機。他のエリアにも警備を配置したわ。」
「エリカとヒバナは?」
「二人は客席で待機してもらってるわ。今回の件の実行犯が客の中に紛れ込んでいる可能性もあるから……」
「そう……ありがとう。千景はどうするの?」
「私も出来れば舞台袖で姉さんのフォローができるように待機していたいんだけど………生憎とさっきからひしひしと物騒なラヴコールがきているわ。」
報告を受けた後、そう尋ねる梨紗に対し、千景は鋭い眼でそう言う。
「そう……気を付けてね。」
そんな千景に対し、梨紗はそう言いながら頭を撫でる。
「ちょっ、ね、姉さん?」
「あ。ごめんなさい。つい撫でちゃったわ。」
「………そういうところ、本当に桜歌さんみたいよ。」
「嬉しいことを言ってくれるわね。そうね、お母さんなら……」
梨紗はそう言いながら千景の額に軽くキスをする。
「っ!?」
「私とお母さんからの『加護』よ。絶対に勝ちなさい。」
「えぇ。もう負ける気がしないわ。」
「そろそろ本番ですっ!!」
そんななか、ライブの開始時間を知らせにきたスタッフがやってくる。
「それじゃあ、私も行ってくるわね。千景。」
「えぇ、姉さん。」
そうして梨紗は他のスタッフ達と共に控え室を後にする。
「………待ってなさい。ブラッディーリーフ……っ!!」
一人残された千景は虚空を睨みながら、梨紗から預かった分も含めて両腰に差してある二本の新型ソードに手をかけながらそう呟いた。
その頃、イベント会場の控え室にて、周囲のスタッフが緊張した面持ちで見守るなか、梨紗はそう思いながら姿見を見つめる。
そこに映る梨紗は展示エリアから借り受けた、当時の鳴護アリサが着ていた衣装に身を包み、彼女と同じ桃色のウィッグを被り、メイクも当時と同じメイクが施されていた。
「姉さん、準備は……」
そんななか、千景がそう言いながら様子を見に来る。
が、今の梨紗を見た瞬間、固まってしまう。
「?千景、どうしたの?」
「い、いえ、あまりにもあの人に似ていたものでしたから……」
「そうね……私も少し驚いたわ。元から母親似だという自覚があったけど、ここまでとはね……」
梨紗はそう言いながら左耳にかかったウィッグの毛を搔き上げる。
「っ!?」
その何気無い仕草に千景は今は亡き梨紗の母親である朝鳴桜歌の面影を垣間見る。
「それで、報告は?」
「え、えぇ。地下のエリアは完全に封鎖完了、警備も配置してあるわ。フキさんは舞台袖で待機。乙女さんは裏口で『ツヴァイウイング』の到着待機。他のエリアにも警備を配置したわ。」
「エリカとヒバナは?」
「二人は客席で待機してもらってるわ。今回の件の実行犯が客の中に紛れ込んでいる可能性もあるから……」
「そう……ありがとう。千景はどうするの?」
「私も出来れば舞台袖で姉さんのフォローができるように待機していたいんだけど………生憎とさっきからひしひしと物騒なラヴコールがきているわ。」
報告を受けた後、そう尋ねる梨紗に対し、千景は鋭い眼でそう言う。
「そう……気を付けてね。」
そんな千景に対し、梨紗はそう言いながら頭を撫でる。
「ちょっ、ね、姉さん?」
「あ。ごめんなさい。つい撫でちゃったわ。」
「………そういうところ、本当に桜歌さんみたいよ。」
「嬉しいことを言ってくれるわね。そうね、お母さんなら……」
梨紗はそう言いながら千景の額に軽くキスをする。
「っ!?」
「私とお母さんからの『加護』よ。絶対に勝ちなさい。」
「えぇ。もう負ける気がしないわ。」
「そろそろ本番ですっ!!」
そんななか、ライブの開始時間を知らせにきたスタッフがやってくる。
「それじゃあ、私も行ってくるわね。千景。」
「えぇ、姉さん。」
そうして梨紗は他のスタッフ達と共に控え室を後にする。
「………待ってなさい。ブラッディーリーフ……っ!!」
一人残された千景は虚空を睨みながら、梨紗から預かった分も含めて両腰に差してある二本の新型ソードに手をかけながらそう呟いた。