プロローグ
「エコー01から司令部へ。
目標は無事確保しました。
件 の最新兵器は暴走の末、やむ無く破壊、回収は叶いませんでした。
申し訳ありません。」
気絶したボスをエリカとヒバナが逃げられないように捕縛しているなか、フキはインカムで司令部にいる楠木司令にそう報告する。
『こちら、司令部。
そちらに人的被害は出たか?』
「いえ。暴走した最新兵器の猛威に一時期、危険な状況にはなりましたが、梨紗の機転により全員、大きな負傷を負うことなく撃破することに成功しました。」
『ならば問題ない。元より場合によっては最新兵器の破壊は許可していたからな……
よくやった。相方の梨紗にもそう伝えておけ。』
「ありがとうございます。」
『一時間後に回収班がそちらに到着する。
それまで周囲を警戒しつつその場で待機!』
「了解しました!!」
「ッ!あれは……」
そんななか、たきなは僅かに残っている煙の中から月明かりに反射して光を放っているものの存在に気付く。
駆け寄るとそれは先程、梨紗がコンテナの上から投げ捨てたアンカーCHGだったのだが……
「!?これは……まさかっ!!」
あることに気付いたたきなはそう言いながらアンカーガンのアタッチメントを外し、元のハンドガンをまじまじと観察する。
「……デザートイーグル!?S&WのM500が出るまで最強と呼ばれたハンドガン!
ハンドガンでありながらマグナムでもある自動拳銃……」
月明かりで銀色に輝くそのハンドガン…『デザートイーグル』を手にしながら、たきなは動揺を隠しきれない様子でそう言う。
「通常でも扱いが難しいと言われているのに、それをカスタマイズしてアタッチメントで銃種を変えられるなんて………」
「フキ。リーオーを破壊したことに司令は何か言ってたかしら?」
たきながそう言いながら梨紗の方を見るなか、当の梨紗はそうフキに尋ねる。
「『場合によっての破壊は許可していたから問題ない。よくやった。』だそうだ。」
「そう……しかし、『目標は無事確保しました。』ねぇ……
どう見ても鼻が文字通り、へし折られてるけど?」
「ふんっ!あの程度、尋問する分には問題ないだろ。」
「まぁ、あの一発ですんなり吐けば楽に進むわね。」
梨紗はそう言いながらヘカートを背負い直し、サッチェルバッグから小型のPCを取り出し何かの作業を始める。
「何をしているのですか?」
「ん~?貴女は確か……」
「井ノ上たきなです。本日より京都支部から異動してきました……先程、インカムで少しだけ言葉を交わしましたよね?」
「あぁ、HWSリーオーのことを伝えてくれた子ね。よろしく……
それとさっきは助かったわ。ありがとう。」
「いえ……」
「そういや梨紗。さっきのあれは一体どういうトリックだ?
完全に殺られたと思ったぞ。」
たきなに軽くお礼を言う梨紗に対し、フキは先程のHWSリーオーの大型キャノン砲による砲撃からほぼ無傷で回避したことについて、そう尋ねる。
「別に。あれはただこの子が投げつけてくれた鞄を踏み台にして跳んだだけよ。
あれがなかったら流石に足の一本は覚悟したわ……」
「………」
対する梨紗はたきなを指差しながらそう答え、たきなは軽く会釈する。
「そういえば確かにあの時、投げつけてたな……なるほど……」
「それで話の続きですが、何をしているのですか?」
そんな二人からの説明にフキが納得するなか、たきなは改めてそう尋ねる。
「記録を取ってるのよ……さっきのHWSリーオーの……」
「?それは本部が行っているのでは?」
「そうね。これは私が個人的にやってることよ。」
「最新兵器を破壊した時は必ずそれで録ってるな………
他の任務では録ってないが……」
「なるほど……」
フキからそう聞かされた後、たきなはそう言いながら改めて梨紗の様子を観察する。
対する梨紗はたきなの視線など全く意に介さず、残骸を見下ろしながら小型PC…PDIで記録を取っていく。
「?」
(なんか悲しんでいる……?)
その時の梨紗の視線は鋭くはあるものの何処か哀愁の感情が入り交じっていることに気付いたたきなはそう思いながら首を傾げる。
その姿はまるで死者を弔っているようだった。
目標は無事確保しました。
申し訳ありません。」
気絶したボスをエリカとヒバナが逃げられないように捕縛しているなか、フキはインカムで司令部にいる楠木司令にそう報告する。
『こちら、司令部。
そちらに人的被害は出たか?』
「いえ。暴走した最新兵器の猛威に一時期、危険な状況にはなりましたが、梨紗の機転により全員、大きな負傷を負うことなく撃破することに成功しました。」
『ならば問題ない。元より場合によっては最新兵器の破壊は許可していたからな……
よくやった。相方の梨紗にもそう伝えておけ。』
「ありがとうございます。」
『一時間後に回収班がそちらに到着する。
それまで周囲を警戒しつつその場で待機!』
「了解しました!!」
「ッ!あれは……」
そんななか、たきなは僅かに残っている煙の中から月明かりに反射して光を放っているものの存在に気付く。
駆け寄るとそれは先程、梨紗がコンテナの上から投げ捨てたアンカーCHGだったのだが……
「!?これは……まさかっ!!」
あることに気付いたたきなはそう言いながらアンカーガンのアタッチメントを外し、元のハンドガンをまじまじと観察する。
「……デザートイーグル!?S&WのM500が出るまで最強と呼ばれたハンドガン!
ハンドガンでありながらマグナムでもある自動拳銃……」
月明かりで銀色に輝くそのハンドガン…『デザートイーグル』を手にしながら、たきなは動揺を隠しきれない様子でそう言う。
「通常でも扱いが難しいと言われているのに、それをカスタマイズしてアタッチメントで銃種を変えられるなんて………」
「フキ。リーオーを破壊したことに司令は何か言ってたかしら?」
たきながそう言いながら梨紗の方を見るなか、当の梨紗はそうフキに尋ねる。
「『場合によっての破壊は許可していたから問題ない。よくやった。』だそうだ。」
「そう……しかし、『目標は無事確保しました。』ねぇ……
どう見ても鼻が文字通り、へし折られてるけど?」
「ふんっ!あの程度、尋問する分には問題ないだろ。」
「まぁ、あの一発ですんなり吐けば楽に進むわね。」
梨紗はそう言いながらヘカートを背負い直し、サッチェルバッグから小型のPCを取り出し何かの作業を始める。
「何をしているのですか?」
「ん~?貴女は確か……」
「井ノ上たきなです。本日より京都支部から異動してきました……先程、インカムで少しだけ言葉を交わしましたよね?」
「あぁ、HWSリーオーのことを伝えてくれた子ね。よろしく……
それとさっきは助かったわ。ありがとう。」
「いえ……」
「そういや梨紗。さっきのあれは一体どういうトリックだ?
完全に殺られたと思ったぞ。」
たきなに軽くお礼を言う梨紗に対し、フキは先程のHWSリーオーの大型キャノン砲による砲撃からほぼ無傷で回避したことについて、そう尋ねる。
「別に。あれはただこの子が投げつけてくれた鞄を踏み台にして跳んだだけよ。
あれがなかったら流石に足の一本は覚悟したわ……」
「………」
対する梨紗はたきなを指差しながらそう答え、たきなは軽く会釈する。
「そういえば確かにあの時、投げつけてたな……なるほど……」
「それで話の続きですが、何をしているのですか?」
そんな二人からの説明にフキが納得するなか、たきなは改めてそう尋ねる。
「記録を取ってるのよ……さっきのHWSリーオーの……」
「?それは本部が行っているのでは?」
「そうね。これは私が個人的にやってることよ。」
「最新兵器を破壊した時は必ずそれで録ってるな………
他の任務では録ってないが……」
「なるほど……」
フキからそう聞かされた後、たきなはそう言いながら改めて梨紗の様子を観察する。
対する梨紗はたきなの視線など全く意に介さず、残骸を見下ろしながら小型PC…PDIで記録を取っていく。
「?」
(なんか悲しんでいる……?)
その時の梨紗の視線は鋭くはあるものの何処か哀愁の感情が入り交じっていることに気付いたたきなはそう思いながら首を傾げる。
その姿はまるで死者を弔っているようだった。